隔月刊の「社会保障」のページ裏の「歳時記」の文章はいい話が載っている。今回は教育学者の「三上満」さんの文章である。以下、紹介する。
今年は、石川啄木没後100年の年に当たる。私が23歳から40歳まで18年も勤めていた中学校は、啄木終焉の地のすぐ近くにあった。そのこともあって、啄木は何かと私の授業の教材になった。
いじわるの大工の子ども呼び出され
いくさに出でしが生きてかへらず
こんな歌も日露戦争の授業の教材になったし
しんとして幅広さ街の( )の夜の
とうもろこしの焼くる匂いよ
といった歌は地理の気候学習の教材になり、( )の中に入る季節を考えさせたりした。(答えは秋)
啄木といえば忘れられないことがある。ある時のテストで、歴史上の人物の名を答える問題で、正解が「石川啄木」だった。ところが間違えて「石川五エ門」と書いてきた子がいた。その子が、都知事選の時の私への応援で語ってくれた。(1999年都知事選)
「満さんは、私の答えを×にしなかった。丁寧に五エ門を消し、石川だけ残して、そこに半丸を付けてくれ、点数も半分くれた。そのことを一番よく覚えている」
教育とは、子どもの中に埋もれ、隠れている小さな“よさ”を見つけ出し、光を当ててやる仕事である。教育の醍醐味は、「いいとこ探し」であって「あら探し」ではない。
橋下市長(前知事)が、大阪でやろうとしている“教育改革”とは、いったい何物であろうか。知事の方針に従わない学校、教職員への徹底した監視と「あら探し」である。そのあら探しは、ついに「君が代」を歌っているかどうかを調べる“口元検査”にまで及んだ。
しかし、どんなに統制がのしかかかろうと、子どもとじかに向き合い、子どもの“いいところ”を見つけ励ますのは教師たちだ。大阪の教師たちは、この原点を決して失いはしないだろう。
三上さんは、大阪で行われている「教育改革」とはなにか、「教育はあら探しではない」と言っている。まさにその通りである。橋本徹のパフォーマンスに騙されていけない。
2012年7月13日金曜日
2012年7月10日火曜日
新藤兼人
「総研いのちとくらし」 二木立氏の論文の(私の好きな名言・警句)の中で、亡くなった「新藤兼人」日本最高齢の映画監督。(2012年5月29日死去、100歳)氏の言葉が紹介されている。
「泣いたりなんかしちゃいけない。前を向いて歩くと、つぶてが飛んでくるけど、それでも顔を上げていくんだ」(読売新聞」2012年5月31日朝刊)
遺作となった「一枚のハガキ」の公開を控えた2011年4月のインタビューで、力を込めてこう語ったと紹介、「生きている限り好きなことをやり抜きたい。老人は決して枯れた存在ではない」(「読売新聞」2012年5月31日夕刊)。
「酒は飲まない。ムダだから。あまり受けつけないたちだし、酔っぱらって時間を潰すのはつまらない。第一、僕は酔っぱらってものを言いたくない。酔いという鎧を着てものを言うのは正直じゃないと思う。要するに、シラフでものを言いたいんです」、
「死んだら灰になるだけです。死ぬときの安定感というのは、生き抜いたなという安心感じゃないですか。だから乙羽[信子さんが亡くなったとき、ほんとにいい死に方だなと思った。最後の仕事をやり終えて死んだのですからね」(『公研』2012年6月号「編集後記」。監督85歳のときの同誌インタビュー「私の生き方」での発言と紹介)。
酔っ払って、時間を潰すのはつまらない。酔っ払ってものを言いたくない。という言葉は耳が痛い。
「泣いたりなんかしちゃいけない。前を向いて歩くと、つぶてが飛んでくるけど、それでも顔を上げていくんだ」(読売新聞」2012年5月31日朝刊)
遺作となった「一枚のハガキ」の公開を控えた2011年4月のインタビューで、力を込めてこう語ったと紹介、「生きている限り好きなことをやり抜きたい。老人は決して枯れた存在ではない」(「読売新聞」2012年5月31日夕刊)。
「酒は飲まない。ムダだから。あまり受けつけないたちだし、酔っぱらって時間を潰すのはつまらない。第一、僕は酔っぱらってものを言いたくない。酔いという鎧を着てものを言うのは正直じゃないと思う。要するに、シラフでものを言いたいんです」、
「死んだら灰になるだけです。死ぬときの安定感というのは、生き抜いたなという安心感じゃないですか。だから乙羽[信子さんが亡くなったとき、ほんとにいい死に方だなと思った。最後の仕事をやり終えて死んだのですからね」(『公研』2012年6月号「編集後記」。監督85歳のときの同誌インタビュー「私の生き方」での発言と紹介)。
酔っ払って、時間を潰すのはつまらない。酔っ払ってものを言いたくない。という言葉は耳が痛い。
2012年7月2日月曜日
ソーシャルメディアと社会運動
「原発再稼動反対、原発いらない、いますぐ廃炉を」をインターネット上で呼びかけ、大きな行動となっている。それに関連して日経で、興味ある文章が載っていたので、紹介する。
建設的な智恵を
たとえば大飯原発の再稼働を決めた政府・官庁に対してテロをあおるようなツイートが流れ、「炎上」を招いたこともあった。ソーシャルメディアと連動した社会運動は匿名性と移動性の高さが特徴だが、匿名性に隠れて時に粗暴になったり、言いっぱなし、やりっぱなしの無責任な言動もありえよう。
そうして自滅への道を辿らず、デモは建設的にして批評的な社会運動であり続けられるか・・・その問いは20世紀初頭の二人の社会心理学者の間の論争を想起させる。ル・ボンは特定の場所に集まって声や身振りで情報交換する群衆を暗示にかかりやすく、衝動的で非合層な存在とみなした(『群衆心理』講談社学術文庫・93年)。G・タルドはメディアによって情報を共有する理性的な公衆の登場に期待した(『世論と群集』未来社・64年)。デモは様変わりしたが問題の本質は変わらない。
つまり人間は集団となった時に、力を合わせて自分たちの未来を良きものに変えるだけの智恵を備えているか、それが常に問われ続けているのだ。
確かに、これだけ多くの人が、デモという形で集まることは大きな力となりうる。しかし、これからを変える知恵を出すには、しっかりとした組織が必要であることも、事実である。
建設的な智恵を
たとえば大飯原発の再稼働を決めた政府・官庁に対してテロをあおるようなツイートが流れ、「炎上」を招いたこともあった。ソーシャルメディアと連動した社会運動は匿名性と移動性の高さが特徴だが、匿名性に隠れて時に粗暴になったり、言いっぱなし、やりっぱなしの無責任な言動もありえよう。
そうして自滅への道を辿らず、デモは建設的にして批評的な社会運動であり続けられるか・・・その問いは20世紀初頭の二人の社会心理学者の間の論争を想起させる。ル・ボンは特定の場所に集まって声や身振りで情報交換する群衆を暗示にかかりやすく、衝動的で非合層な存在とみなした(『群衆心理』講談社学術文庫・93年)。G・タルドはメディアによって情報を共有する理性的な公衆の登場に期待した(『世論と群集』未来社・64年)。デモは様変わりしたが問題の本質は変わらない。
つまり人間は集団となった時に、力を合わせて自分たちの未来を良きものに変えるだけの智恵を備えているか、それが常に問われ続けているのだ。
確かに、これだけ多くの人が、デモという形で集まることは大きな力となりうる。しかし、これからを変える知恵を出すには、しっかりとした組織が必要であることも、事実である。
2012年6月27日水曜日
置かれた場所で咲きなさい
「置かれた場所で咲きなさい」(渡辺和子)という本が、売れているようだ。ジュンク堂では、目立つところに置かれていた。立ち読みして、「はじめに」のところを読んだら、自分と似たようなことを考えているなと思い、購入した。以下、「はじめに」の部分である。
はじめに
修道者であっても、キレそうになる日もあれば、眠れない夜もあります。そんなすべ時に、自分をなだめ、落ち着かせ、少しだけでも心を穏やかにする術を、いつしか習いました。
三十代半ばで、思いがけず岡山に派遣され、翌年、大学学長に任命されて、心乱れることも多かった時、一人の宣教師が短い英詩を手渡してくれました。Bloom where God has planted you.(神が植えたところで咲きなさい)
「咲くということは、仕方がないと諦めるのではなく、笑顔で生き、周囲の人々も幸せにすることなのです」と続いた詩は、「置かれたところこそが、今のあなたの居場所なのです」と告げるものでした。
置かれたところで自分らしく生きていれば、必ず「見守っていてくださる方がいる」という安心感が、波立つ心を鎮めてくれるのです。
咲けない日があります。その時は、根を下へ下へと降ろしましょう。この本が、読む方の心に少しでも和らぎをもたらすようにと願っています。
私は、宗教は好きではないが、宗教を信じている人を押しなべて嫌いということではない。彼女は修道者であって、なかなかの人格者である。
はじめに
修道者であっても、キレそうになる日もあれば、眠れない夜もあります。そんなすべ時に、自分をなだめ、落ち着かせ、少しだけでも心を穏やかにする術を、いつしか習いました。
三十代半ばで、思いがけず岡山に派遣され、翌年、大学学長に任命されて、心乱れることも多かった時、一人の宣教師が短い英詩を手渡してくれました。Bloom where God has planted you.(神が植えたところで咲きなさい)
「咲くということは、仕方がないと諦めるのではなく、笑顔で生き、周囲の人々も幸せにすることなのです」と続いた詩は、「置かれたところこそが、今のあなたの居場所なのです」と告げるものでした。
置かれたところで自分らしく生きていれば、必ず「見守っていてくださる方がいる」という安心感が、波立つ心を鎮めてくれるのです。
咲けない日があります。その時は、根を下へ下へと降ろしましょう。この本が、読む方の心に少しでも和らぎをもたらすようにと願っています。
私は、宗教は好きではないが、宗教を信じている人を押しなべて嫌いということではない。彼女は修道者であって、なかなかの人格者である。
2012年6月25日月曜日
眼にも留まらぬ政治
毎日新聞の解説委員の山田孝男氏は「風知草」という評論の中で、「原子力規制委員会設置法」の隠れた真相を暴露している。「眼にも留まらぬ政治」と題して以下のように述べている。
原子力規制委員会設置法
増税3党合意の陰で原子力基本法」が書き換えられた。核武装に含みを持たせたと取れる文言が加筆された。別の法律の付則で基本法改定を決めてしまという姑息な形で。
このやり方に驚いているのは反核運動家と脱原発派だけではない。体制立て直しを探る原発推進派の間にも批判が広がっている。こんなやり方で信頼を取り戻せるはずがない。
問題の法律の名は「原子力規制委員会設置法」という。なにしろ速かった。民自公3党の修正合意を経て法案が国会に出たのが15日。成立が20日だ。原発再稼働をにらみ、規制委の発足を急いだわけである。
その法案に基本法の改定条項が埋め込まれていることが公になったのは、法案成立当日、20日の参院環境委員会で、民主党の議員が「狙いは核武装か」と質問したことによる。
質問者は「議案を渡されたのが15日。修正部分の新旧対照表もなかった」と嘆いた。改定は自民党主導だが、3党合意直後の14日夕、自民党の合同部会で配られた法案要綱に焦点の文言は見えない。同党政調のベテランも「どういう経緯かわからない」と首をかしげた。
日本核武装の布石ではないかと疑われた文言とは何か。基本法2条(基本方針)に、こう書いてある。原子力の研究、開発及び利用は平和目的に限り「民主、自主、公開」の3原則に基づいて進める(大意)。その2条に第2項を加え「安全保障に資することを目的として」という文言を織り込んだところが条文修正のミソである。
「安全保障」とは何か。20日の参院環境委でそこを聞かれた自民党の提案者は核武装の意図を否定し、こう答えた。「原発の安全、軍事転用を防ぐ国際原子力機関(I AEA)の保障措置、原発テロの防護を規制委に一元化することです」
東京新聞が21日朝刊1両トップで「原子力の憲法、こっそり変更/軍事利用への懸念も」と大きく報じた。テレビも伝え、韓国外交通商省の副報道官が「注視している」と反応したというのが週末までの情勢だ。
自民党からこの案が出たことは驚くに当たらない。戦後、日本核武装への期待を非公式に語った政治家、官僚はいくらでもいる。表向きは非核の理想を掲げつつ、いつでも持てる「潜在的保有国」であることが経済大国の心の支えだった。
では、暗黙の了解だった「潜在的核保有国」の自負を表に出す理由は何か。旧知の官僚の解説を興味深く聞いた。
「六ヶ所村(の核燃料再処理工場=青森県)でしょう。脱原発が進めば、あの施設は意味を失う。核物質の軍事転用に備えるという意義を法律に入れておけば存続可能です。そう考えた自民党の議員と、手伝った役人がいたと思いますね」
そんな立法が、基本法を正面から諭ずることなく、関連法の付則で決まった。先の官僚の慨嘆、傾聴に値する。
「付則による関連法改正というのは、ある法令を変えると必然的に他の法律も変えざるえない時にやるもので、今回は趣旨を履き違えている。法的には有効ですが、まったく不適切な立法だと思いますね」
原子力基本法は自民党が生まれた1955年にできた。それから57年。事態は、「民主、自主、公開」の3原則にますます逆行している。
「社会保障と税の一体改革」と同じように、一見まともに見える「法案」は注意して見る必要がある。
原子力規制委員会設置法
増税3党合意の陰で原子力基本法」が書き換えられた。核武装に含みを持たせたと取れる文言が加筆された。別の法律の付則で基本法改定を決めてしまという姑息な形で。
このやり方に驚いているのは反核運動家と脱原発派だけではない。体制立て直しを探る原発推進派の間にも批判が広がっている。こんなやり方で信頼を取り戻せるはずがない。
問題の法律の名は「原子力規制委員会設置法」という。なにしろ速かった。民自公3党の修正合意を経て法案が国会に出たのが15日。成立が20日だ。原発再稼働をにらみ、規制委の発足を急いだわけである。
その法案に基本法の改定条項が埋め込まれていることが公になったのは、法案成立当日、20日の参院環境委員会で、民主党の議員が「狙いは核武装か」と質問したことによる。
質問者は「議案を渡されたのが15日。修正部分の新旧対照表もなかった」と嘆いた。改定は自民党主導だが、3党合意直後の14日夕、自民党の合同部会で配られた法案要綱に焦点の文言は見えない。同党政調のベテランも「どういう経緯かわからない」と首をかしげた。
日本核武装の布石ではないかと疑われた文言とは何か。基本法2条(基本方針)に、こう書いてある。原子力の研究、開発及び利用は平和目的に限り「民主、自主、公開」の3原則に基づいて進める(大意)。その2条に第2項を加え「安全保障に資することを目的として」という文言を織り込んだところが条文修正のミソである。
「安全保障」とは何か。20日の参院環境委でそこを聞かれた自民党の提案者は核武装の意図を否定し、こう答えた。「原発の安全、軍事転用を防ぐ国際原子力機関(I AEA)の保障措置、原発テロの防護を規制委に一元化することです」
東京新聞が21日朝刊1両トップで「原子力の憲法、こっそり変更/軍事利用への懸念も」と大きく報じた。テレビも伝え、韓国外交通商省の副報道官が「注視している」と反応したというのが週末までの情勢だ。
自民党からこの案が出たことは驚くに当たらない。戦後、日本核武装への期待を非公式に語った政治家、官僚はいくらでもいる。表向きは非核の理想を掲げつつ、いつでも持てる「潜在的保有国」であることが経済大国の心の支えだった。
では、暗黙の了解だった「潜在的核保有国」の自負を表に出す理由は何か。旧知の官僚の解説を興味深く聞いた。
「六ヶ所村(の核燃料再処理工場=青森県)でしょう。脱原発が進めば、あの施設は意味を失う。核物質の軍事転用に備えるという意義を法律に入れておけば存続可能です。そう考えた自民党の議員と、手伝った役人がいたと思いますね」
そんな立法が、基本法を正面から諭ずることなく、関連法の付則で決まった。先の官僚の慨嘆、傾聴に値する。
「付則による関連法改正というのは、ある法令を変えると必然的に他の法律も変えざるえない時にやるもので、今回は趣旨を履き違えている。法的には有効ですが、まったく不適切な立法だと思いますね」
原子力基本法は自民党が生まれた1955年にできた。それから57年。事態は、「民主、自主、公開」の3原則にますます逆行している。
「社会保障と税の一体改革」と同じように、一見まともに見える「法案」は注意して見る必要がある。
2012年6月19日火曜日
未熟型うつ
最近なぜか盛り上がりを見せる「新型うつ」「現代型うつ」論争。「うつ病とは違うのだから別に考えるべき」、「安易なレッテルだ」と異議を唱える専門家が多いのだが、話題になるのは、それだけ多くの職場で問題になっているからともいえる。産業精神医学の専門家、心理学の第一人者、松崎一葉(筑波大学教授)の話を以下に紹介する。
私は、新型うつ、現代型うつと言わず、未熟型うつと言っている。なぜか。現代型とか新型と言うと、マスコミ受けはいいかもしれないが、「俺って現代型うつでさ」と、自慢したりその状態に安住する人が出てくるからだ。未熟型うつとすれば、「俺って未熟なんだよね」と自慢しにくい。
未熟というのは、人格が成長する過程において、何かが欠落して止まっている状態。だから、本人が理不尽な思いをしたり、もまれる経験をするなど、それまでに欠落していた体験を補完していくと、「一皮むけて大人になった」感じになる。
職場における未熟型うつに対しては、すでに企業ではメンター、ブラザー、エルダーといった制度の下で、先輩が後輩の指導をするシステムがある。これを活用するといい。
若い社員にとってみると、先輩とは、自分と同一化できるぐらいの年の差であることがポイントだ。一般的に治療は精神科医がするものとされるが、未熟型は医学的な治療だけでは治らない。成長支援をするメンター的存在がいて、周囲が支援する構造が大切になるだろう。
うつ病は昔からあるが、職場のストレスでうつになる人は少なかった。現在は、適応障害の結果としてうつ状態にあるというものが多い。
人は、一生懸命努力して、それが何らかの形で報われれば、その努力はストレスにならない。努力と報酬のバランスが取れていないと、適応障害になりやすくなる。
若者のはうがまともな部分もある
それを防ぐには、仕事の過程を含めて褒めることだ。そうすれば、モチベーションがアップする。企業の経営者には、金銭などでのインセンティブが少なくなっているからこそ、ほかのインセンティブをどうするか、真剣に考えてほしい。従業員を重要なステークホルダーとして認識し、CSR (企業の社会的責任)の一環として、従業員のメンタルヘルス対策をとらえてはどうか。
日本には滅私奉公をよしとする風土がある。しかし、今の若い人たちは、努力してもそれに見合う報酬をあまり得られないという実態を見ているため、最初から滅私奉公的な努力をしようとはしない。そういう若者に対して、「変だ」「根性がない」「努力しない」という批判の声もあるが、実は、若者のほうがまともじゃないのかという気もする。
適応障害で2年も休んでいた若者が、東日本大震災のボランティアに行って働いている姿を見たりすると、彼らにとっての報酬は、会社の中でスキルを磨き、そこそこの賃金をもらうことではなくて、社会や人の役に立つことだということがわかる。企業も、そういった若者の変化を読み取る必要があるだろう。(東洋経済)
私も「新型うつ」という言葉になにか、違和感を感じていた。「未熟型うつ」の方が、しっくりくる気がする。
解説 メンター:手本となる人、師匠
ステークホルダー:利害関係者、そのグループからの支援がなければ、存続しないようなグル
ープ
私は、新型うつ、現代型うつと言わず、未熟型うつと言っている。なぜか。現代型とか新型と言うと、マスコミ受けはいいかもしれないが、「俺って現代型うつでさ」と、自慢したりその状態に安住する人が出てくるからだ。未熟型うつとすれば、「俺って未熟なんだよね」と自慢しにくい。
未熟というのは、人格が成長する過程において、何かが欠落して止まっている状態。だから、本人が理不尽な思いをしたり、もまれる経験をするなど、それまでに欠落していた体験を補完していくと、「一皮むけて大人になった」感じになる。
職場における未熟型うつに対しては、すでに企業ではメンター、ブラザー、エルダーといった制度の下で、先輩が後輩の指導をするシステムがある。これを活用するといい。
若い社員にとってみると、先輩とは、自分と同一化できるぐらいの年の差であることがポイントだ。一般的に治療は精神科医がするものとされるが、未熟型は医学的な治療だけでは治らない。成長支援をするメンター的存在がいて、周囲が支援する構造が大切になるだろう。
うつ病は昔からあるが、職場のストレスでうつになる人は少なかった。現在は、適応障害の結果としてうつ状態にあるというものが多い。
人は、一生懸命努力して、それが何らかの形で報われれば、その努力はストレスにならない。努力と報酬のバランスが取れていないと、適応障害になりやすくなる。
若者のはうがまともな部分もある
それを防ぐには、仕事の過程を含めて褒めることだ。そうすれば、モチベーションがアップする。企業の経営者には、金銭などでのインセンティブが少なくなっているからこそ、ほかのインセンティブをどうするか、真剣に考えてほしい。従業員を重要なステークホルダーとして認識し、CSR (企業の社会的責任)の一環として、従業員のメンタルヘルス対策をとらえてはどうか。
日本には滅私奉公をよしとする風土がある。しかし、今の若い人たちは、努力してもそれに見合う報酬をあまり得られないという実態を見ているため、最初から滅私奉公的な努力をしようとはしない。そういう若者に対して、「変だ」「根性がない」「努力しない」という批判の声もあるが、実は、若者のほうがまともじゃないのかという気もする。
適応障害で2年も休んでいた若者が、東日本大震災のボランティアに行って働いている姿を見たりすると、彼らにとっての報酬は、会社の中でスキルを磨き、そこそこの賃金をもらうことではなくて、社会や人の役に立つことだということがわかる。企業も、そういった若者の変化を読み取る必要があるだろう。(東洋経済)
私も「新型うつ」という言葉になにか、違和感を感じていた。「未熟型うつ」の方が、しっくりくる気がする。
解説 メンター:手本となる人、師匠
ステークホルダー:利害関係者、そのグループからの支援がなければ、存続しないようなグル
ープ
2012年6月14日木曜日
TPP
全国革新懇ニュースに載っていた記事で、エジプト生まれのタレント「フイフイ」さんが、TPP問題についてのインタビューがわかりやすくていい。一部を紹介する。
崩される社会システム
日本の環太平洋連携協定(TPP)への参加に警鐘を鳴らしていますね。
日本の国は「経済が活性化します」とだけ言ってTPPの中身をちゃんと発表していません。私はアメリカに留学していました。アメリカはもうけることしか考えていないし、TPPもその一環です。
TPPに参加すれば遺伝子組み換えや農薬、添加物など日本の規制基準を満たさない食品がアメリカからどんどん入ってくる。
東北の農産物を「食べて応援」と言いながら、TPPに参加しようという(日本政府の)姿勢は非常に矛盾します。国が放射能の値をちゃんと発表しないため、東北の農家はすごく不安を抱えていし、TPPで米やいろいろな食品が自由化されたら、ダメージは大きいでしょう。
日本がずっと守ってきた国民皆保険も自由化されてアメリカのようになってしまう。アメリカでは虫歯一つ治すのに10万円をくだらないですよ。薬事法(医薬品や医療機器に関する法律)も規制がゆるくされて、日本人には強すぎるアメリカの薬を使わせられると思います。国民の健康を守る国の義務を、完全に放棄していますよね。
労働者も流入する。著作権などもフリーになり、「日本のものはアメリカのもの」という状態に変わるのでは思います。日本は丁寧とか時間を守る、正直など、独特のきっちりした生き方のなかで平等の社会システムをつくってきた。それが「貧しい人は死んでください」というアメリカの弱肉強食の制度で崩されてしまいます。
若者は政治を知りたい
日本政府はTPP交渉で日本に有利な枠組みをつくると言っています。これまでの外交を見ても、対等に交渉できたことがありますか。アメリカのいいなりですよね。自信があるなら、なぜ沖縄の普天間基地問題はうまく解決できないの。
政治に無関心にさせられると、国のやりたい放題になってしまいます。日本と同じ親米政権だったエジプトでは、国民が食べることもできない、大学を出ても職がない状況が長く続いて、昨年2月、革命が起きました。
日本の報道は欧米からの情報ばかりです。私がアラブ側からみる「アラブの春」(中東の民主化運動)やエジプト革命をブログに書くと、若者から「かっこいい」「日本の将来をみているみたい」「日本人はどうしたらこういうことができますか」など'たくさんのメッセージがきて励まされました。日本の若者は政治や世界の動きを知りたいとどん欲です。
社会が良くならなければ、自分の生活だって良くならない。だから将来のことを考えるとき、自分の将来だけではなくて、大きな枠で考えないといけない。
日本に限らず若者は、大人のやっていることに疑問をもっています。資本主義が世界を支配し、日本も資本主義ですが、「理不尽だよな」「不公平だよな」と純粋な疑問をもっている。良い刺激を受ければ、いくらでも力を発揮します。
物事を見る眼は、一面的では掴めない。日本政府の行動が、アメリカからだけでなく、中国からみたらどうなのか、ロシアからみたらどうなのか、アラブからみたらどうなのか・・。身近な問題では、弱者からみたら、今の社会保障はどうなのか・・。違った視点で考えることを習慣付けることが、重要だ。
崩される社会システム
日本の環太平洋連携協定(TPP)への参加に警鐘を鳴らしていますね。
日本の国は「経済が活性化します」とだけ言ってTPPの中身をちゃんと発表していません。私はアメリカに留学していました。アメリカはもうけることしか考えていないし、TPPもその一環です。
TPPに参加すれば遺伝子組み換えや農薬、添加物など日本の規制基準を満たさない食品がアメリカからどんどん入ってくる。
東北の農産物を「食べて応援」と言いながら、TPPに参加しようという(日本政府の)姿勢は非常に矛盾します。国が放射能の値をちゃんと発表しないため、東北の農家はすごく不安を抱えていし、TPPで米やいろいろな食品が自由化されたら、ダメージは大きいでしょう。
日本がずっと守ってきた国民皆保険も自由化されてアメリカのようになってしまう。アメリカでは虫歯一つ治すのに10万円をくだらないですよ。薬事法(医薬品や医療機器に関する法律)も規制がゆるくされて、日本人には強すぎるアメリカの薬を使わせられると思います。国民の健康を守る国の義務を、完全に放棄していますよね。
労働者も流入する。著作権などもフリーになり、「日本のものはアメリカのもの」という状態に変わるのでは思います。日本は丁寧とか時間を守る、正直など、独特のきっちりした生き方のなかで平等の社会システムをつくってきた。それが「貧しい人は死んでください」というアメリカの弱肉強食の制度で崩されてしまいます。
若者は政治を知りたい
日本政府はTPP交渉で日本に有利な枠組みをつくると言っています。これまでの外交を見ても、対等に交渉できたことがありますか。アメリカのいいなりですよね。自信があるなら、なぜ沖縄の普天間基地問題はうまく解決できないの。
政治に無関心にさせられると、国のやりたい放題になってしまいます。日本と同じ親米政権だったエジプトでは、国民が食べることもできない、大学を出ても職がない状況が長く続いて、昨年2月、革命が起きました。
日本の報道は欧米からの情報ばかりです。私がアラブ側からみる「アラブの春」(中東の民主化運動)やエジプト革命をブログに書くと、若者から「かっこいい」「日本の将来をみているみたい」「日本人はどうしたらこういうことができますか」など'たくさんのメッセージがきて励まされました。日本の若者は政治や世界の動きを知りたいとどん欲です。
社会が良くならなければ、自分の生活だって良くならない。だから将来のことを考えるとき、自分の将来だけではなくて、大きな枠で考えないといけない。
日本に限らず若者は、大人のやっていることに疑問をもっています。資本主義が世界を支配し、日本も資本主義ですが、「理不尽だよな」「不公平だよな」と純粋な疑問をもっている。良い刺激を受ければ、いくらでも力を発揮します。
物事を見る眼は、一面的では掴めない。日本政府の行動が、アメリカからだけでなく、中国からみたらどうなのか、ロシアからみたらどうなのか、アラブからみたらどうなのか・・。身近な問題では、弱者からみたら、今の社会保障はどうなのか・・。違った視点で考えることを習慣付けることが、重要だ。
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