2015年6月10日水曜日

医療制度改革


二木立の医療経済・政策学関連ニューズレターの6月号に「医療制度改革を複眼的に読む」として、今回の焦点は以下の点にあるとしている。一部紹介する。

医療制度改革の焦点は薬価・調剤技術料の抑制

 各論の医療制度改革部分は、「国民皆保険を維持するための制度改革」と「医療の効率化」の2本立てで、前者には保険給付範囲の縮小、サービス単価の抑制、および患者窓口負担や保険料の引き上げのメニューを網羅的に示しています。
 「サービス単価の抑制(総括)(26)では、「診療報酬・介護報酬についても、(中略)保険料等の国民負担の上昇を抑制する視点からマイナスとする必要」と断言しています。
医療制度改革部分でもっとも注目されることは、診療報酬引き下げよりも、薬価と(院外処方の)調剤技術料の引き下げに焦点が当てられていることです。特に後者については5頁が割かれ、「調剤技術料について抜本的な適正化が必要」と結論づけています(34)。医療制度改革部分で、「抜本的」という強い表現が用いられているのはここだけです。さらに、それに続いて、(参考1)として、大手調剤薬局4社の内部留保(利益剰余金)2010年の263億円から2014年の577億円へとわずか4年間で2.2倍化したとするセンセーショナルな図も示されています(35)。ちなみに、2011年の財務省「資料」には、「大手調剤薬局(8)の売上高の推移」が示されていただけであり、調剤技術料の抑制を目指す財務省の強い決意が感じられます。
 医薬品費抑制の改革でもう1つ注目されるのは、長期収載品(特許切れ先発医薬品)の保険給付において、保険給付の基準額を超えた「先発薬を選択した患者の追加負担」が提案されていることです(17)。これは旧厚生省が2000年の「医療保険制度抜本改革」の柱として提案したものの、医師会等の医療団体、日米の製薬大企業、研究者等の強い反対にあって頓挫した「参照価格制度」の蒸し返しです。しかし、参照価格制度は、医薬品給付における混合診療解禁であり、今回もその実現可能性は低いと思います。そのために、この提案の隠れた狙い(落とし所)は、諸外国に比べて高止まりしている日本の長期収載品の薬価の大幅引き下げにあると判断します。
 来年度の診療報酬・薬価改定は保険薬局に厳しいものになることは避けられない。

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