2012年1月23日月曜日

食事の回数

  以前にも紹介したが、北岡正三郎氏の「物語 食の文化」という本は面白い。
今回は日常の食事についての記述を紹介する。

日常の食事
二食 現在文明国の大多数の人々は毎日朝、昼、夕と三回の食事を摂っているが、 一日三食の風習は多くの国でつい数世紀前に始まったもので、それまでは1日二食であった。有史以前から農耕社会や牧畜社会では、作業に出かける前と帰った時、一日二度食事をするのか合理的であった。
ヨーロッパ圏では古代エジプトと古代ギリシアが一日三食であったが、古代ローマでは一日二食になり、以来ヨーロッパでは中世を通して、貴族階級を除いて正午頃と夕方の二回の食事をした。二食のうち昼の食事が正餐で質量ともに十分に食べ、夕方の食事は軽いものであった。夕方から翌日の昼までの空腹の時間は英語で「ファスト」(fast.飢餓)と呼ばれ、昼の正餐はそれを破る(break)もので「プレックファスト」(breakfast)と呼ばれたが、今はこの語は朝食の呼称になっている。フランス語の朝食「デジェネ」(deJeuner)も同様の意味を持つ語である。
貴族たちは中世から朝食を取っていたが、パンをワインに浸すだけの簡単なものであった。しかし朝食を取ることは特権階級の特権の一つであった。教会は健康を維持するためには二食で十分で、大食を戒めた。大食はキリスト教の七つの大罪に含まれる大罪であった。中欧諸国やイギリスでは近世まで、食事は必要止むをえぬ行為であるが、それ自体は罪に近い行為と考えられた。
一方ラテン系の国々では食べることは楽しみであった。
三食 一五世紀から十六世紀にかけてヨーロッパでは1日三食の風習が庶民にも浸透し始め、地域や社会層によるが十八世紀には各地に普及した。一日三食はそれまでの昼食と夕食に朝食が加わった形であり、依然として昼食が一日で最も重要な食事(ディナー〔diiner)であった。

一日三食はつい最近の習慣のようだ。「ブレックファスト」の語源がこんなところから来ているとは知らなかった。中欧諸国や、イギリスでは、食事自体は罪に近い行為であるとは。健康のために、1日三食きちんと取らなくてはいけないとう考えは正しいのだろうかと考えてしまう。

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