2014年4月18日金曜日

STAP細胞


毎日新聞のコラム「発信箱」は小さな記事であるが、面白い。だいたい記事というものは、大きいものはどの新聞でも読める。小さな記事程、新聞社の特徴が現れる。今回は「STAP細胞」に関するコラムを紹介する。
女を増やせば
TAP細胞をめぐる騒動は、残念ながらジェンダー問題抜きには語れないのかもしれない。小保方晴子さんが例えば中年の男性研究者だったら。きっと、最初の成果発表のような広報の仕方はなかっただろう。「未熟で」「自己流で」という涙の記者会見にも、さらに厳しい目が注がれたかもしれない。
もちろん、だからといって、「日本の科学界は女に甘い」などと言っているのではない。総務省が今週発表した統計によると、日本で研究者全体(文系も含む)に占める女性の割合は15%に満たない。主要国をみると、英国で4割弱、米国やイタリアで3割強、独仏で4分の1以上。日本はまだ後進国だ。
特に、指導的立場にある女性研究者の数は少ない。女性教授の割合は国立大で約8%。自然科学に限るとさらに低下するはず。小保方さんが所属する理化学研究所の研究センターでも35の研究室のうち女性が代表を務めるのは六つにとどまる。
「シニアの女性研究者がSTAPチームに一人でもいたら、こんなことにならなかったのでは?」。知人の研究者の言葉に思わずうなずいた。これほど重要な研究なのだから、相手が女でも男でも、ハーバード大など他の研究室が関係していようといまいと、研究経験が浅いと思えば「生データは?」「実験ノートは?」と、ためらわずチェックを入れたはず。私の知るツワモノ女性研究者たちの顔を思い浮かべると、そう思える。だからこそ、この騒動から教訓をくむとすれば「研究者の採用は慎重に」ではない。「女性研究者をもっと増やし、指導的立場にもどんどん採用する」が正しいのだ。
STAP細胞関連へのメディアの対応の仕方は、我々にはピンと来ない。どうしてなのだろうと考えていた時にこのコラムに出会った。こういう見方もあるんだなと感心した。

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