2015年3月11日水曜日

自然に生きる


毎日新聞の「人生相談」の回答者の一人、白川道(しらかわとおる)氏の回答は味がある。ベストセラー「天国への階段」の作者である。以下、紹介する。
回答者 白川道(作家
数年前に病気で片方の聴力を失い、年数回、通院中です。周りはふつうに接してくれますが、やっぱり気になります。親は「結婚を」といいます。でも、そんなに長くは生きられないかもしれない。だからこそ、自由に生きたいのです。どうしたら吹っ切れますか。(30代・女性)
回答
年は取りましたが、健常者のはしくれである小生ですから、貴女の悩みを軽々しく受け取ることは難しいです。気になさらずに明るく、と言ったところで、言葉だけでの慰めにしか聞こえないでしょう。
貴女は、自由に生きたい、とおっしゃる。それは貴女に限ったことではなく、人間誰しもが願うことです。しかし現実は、健常者であっても皆が皆自由に生きているわけではありません。日々の生活へ苦しいことや我慢しなければならないことを抱えながら生きているのです。生きるということは大変なことなのだ、とこの年になってもつくづく感じています。
10年ほど前、小生が書いた「天国への階段」を読んでファンになったという若い女性に会いました。両親と4人で食事を、ということになったのです。彼女は幼いときに、両耳の聴覚を失い、会話は身ぶり手ぶり、相手の表情を見ながらというものでしたが、大変、心を動かされました。ふつうの人となんら変わらぬほどに明るく素直な女性だったからです。
その彼女は縁あって、近々結婚するのだという。相手の方は健常者のごくふつうの人でご両親も周囲の人たちも、同情からというのではなく、心から祝福されているのを知り、心温まるのがありました。彼女は自由に生きるというより、自然に生きているのですね。
自由というのはなんなのでしょう。それを求めるより、自然に生きる、ということのほうが大切なのではないでしょうか。
氏は、ギャンブルや株の世界で栄光と挫折を味わってから、作家になった。
「自由に生きるというより、自然に生きる」はいい言葉である。

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