2015年5月26日火曜日

自分を耕せ


私の恩師の河合聡元岐阜薬科大学教授が「自分を耕せ」という本を西田書店から出された。先日お世話になった民医連薬剤師が9人先生の自宅を訪問した。その時に本を頂いた。その中の「メディアの分野」の一部を紹介する。
「マスコミに世論誘導の意図があることは事実です。その影響力には侮りがたいものがあります。とくに多くのメディアが足並みをそろえた時の効果は抜群です」と渡辺治は警告します。なぜそうなるのか。「その理由はマスコミの執行部論説委員らが保守支配層の『常識』を共有しているからだ」と彼は説明しています。その『常識』とは二つあって、1つには大企業の世界競争激化の下、企業の競争力強化のために構造改革は不可避だといぅ考えです。構造改革とは大企業の負担を軽減し、かつ国の財政肥大を抑えようというものです。当然消費税増税や社会保障の削減などによって国民に負担を強いることを意味します。
『常識』のもう一つは、日本の大企業が世界の自由市場で恩恵を受けるためには日米同盟を強化し世界の秩序維持のために貢献すべきだという考えです。
この二つを内容とする『常識』を共有するため、民主党が自らのマニフェストに反してまで消費税率値上げの政策を打ち出したとき、多くのメディアが足並みを揃えたように歓迎の論陣を展開したのはよい例だと渡辺治は言います。
消費税増税不可避論をあおり続けた大手紙の熱意は異様でした。「消費税増税なしに安心は買えぬ」「国家・国民のために消費税増税は必要だ」といった調子です。公権力の監視こそ新聞の役割なのに、権力の代弁者になり下がったのですから驚きです。
「民主党の消費税増税政策に失望した有権者は民主党政権を見限ったが、これまで一貫して反対してきた共産党や社民党に民主党離れの票がなぜ流れないのか」と渡辺は読者に問いかけます。
「たしかに消費税引き上げはいやだ。しかし、かといって共産党の言うように、軍事費を削って、安保体制が揺らいで日本の安全は守れるのか。今や経済はグローバル化の時代だ。日本の経済の国際競争力を低下させてはならない。大企業に負担を求めると企業の海外進出を促し国内産業の空洞化が起きないか心配だ」。こうした危倶から有権者は第三極と呼ばれる政党に流れる結果になるのだと渡辺は解析します。有権者の迷いを掻き立てるのにもメディアが大きな役割を果たしているのです。
こうしたメディアの姿勢について「メディアが打ち出したこうした報道姿勢に抵抗して現場報道記者たちは頑張っているわけですが、巨大メディアも巨大企業体としての性格を持っており、しばしば経営体の論理を優先させ、広告収入の減少に対応することを迫られることになります。併せて現場の報道記者たちも言論人である前に企業人となり自分の昇進のために指導部の報道方針に反しないように心がけるようになります」と渡辺は解説します。そして、「現代のマスメディアは戦時期より悪質だ」と言い切ります。
最近のメディアは、NHKを筆頭に、本当にひどいと思う。

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