2012年6月6日水曜日

能弁と雄弁

「総研いのちとくらし」の中で、二木立氏の「ニューズレター」の最後に私の好きな名言・警句がある。その中で紹介されていた山田孝男氏が「週刊エコノミスト」で書いている文章で、「能弁と雄弁」の違いを言っているところを紹介していたので、エコノミストからそこの部分を探した。以下に記す。
 【週刊エコノミスト 5月1・8日合併号】
 ◇山田孝男(やまだ・たかお=毎日新聞政治部専門編集委員)
 映画のサッチャー(メリル・ストリープ)が英国議会の党首討論で雄弁をふるうのは、1982年、フォークランド戦争に勝利した直後、野党にあらためて団結を呼びかける場面である。バックベンチャー(サッチャーの背後の一般議員席)がどよめき、沸き立つ−−。
 イギリスの2大政党制に憧れた日本が国会で党首討論を始めたのは99年11月7日だった。最初の取組は凡人・小渕恵三(当時首相、自民党総裁)と宇宙人・鳩山由紀夫(同民主党代表)。「朝食にピザ(=小渕のあだ名が「冷めたピザ」)を食べましたか?」という鳩山の寒いジョークしか覚えていない。
 以来、延べ58回の党首討論が実施された。首相も反問する論戦型が定着したと言えなくもないが、それによって前より国会論戦の質が上がったという実感はない。上滑りする論戦は2大政党の液状化と党首の力不足を映し出している。
 ◇放置される公約違反
 そこで野田佳彦首相である。この人の演説、答弁を聞くたびに思うのは「能弁」と「雄弁」の違いということである。「能弁」は「弁舌の達者なこと」(広辞苑)をいう。「雄弁」は「人に感銘を与える、巧みで力強い弁舌」(同)。
野田首相の言葉は常に乱れず、滑らかだが、聞く者に感銘を与えない。つまり、能弁に過ぎない。要するに弁が上滑りをするのだ。

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