2012年6月19日火曜日

未熟型うつ

最近なぜか盛り上がりを見せる「新型うつ」「現代型うつ」論争。「うつ病とは違うのだから別に考えるべき」、「安易なレッテルだ」と異議を唱える専門家が多いのだが、話題になるのは、それだけ多くの職場で問題になっているからともいえる。産業精神医学の専門家、心理学の第一人者、松崎一葉(筑波大学教授)の話を以下に紹介する。
私は、新型うつ、現代型うつと言わず、未熟型うつと言っている。なぜか。現代型とか新型と言うと、マスコミ受けはいいかもしれないが、「俺って現代型うつでさ」と、自慢したりその状態に安住する人が出てくるからだ。未熟型うつとすれば、「俺って未熟なんだよね」と自慢しにくい。
未熟というのは、人格が成長する過程において、何かが欠落して止まっている状態。だから、本人が理不尽な思いをしたり、もまれる経験をするなど、それまでに欠落していた体験を補完していくと、「一皮むけて大人になった」感じになる。
職場における未熟型うつに対しては、すでに企業ではメンター、ブラザー、エルダーといった制度の下で、先輩が後輩の指導をするシステムがある。これを活用するといい。
若い社員にとってみると、先輩とは、自分と同一化できるぐらいの年の差であることがポイントだ。一般的に治療は精神科医がするものとされるが、未熟型は医学的な治療だけでは治らない。成長支援をするメンター的存在がいて、周囲が支援する構造が大切になるだろう。
うつ病は昔からあるが、職場のストレスでうつになる人は少なかった。現在は、適応障害の結果としてうつ状態にあるというものが多い。
人は、一生懸命努力して、それが何らかの形で報われれば、その努力はストレスにならない。努力と報酬のバランスが取れていないと、適応障害になりやすくなる。
若者のはうがまともな部分もある
それを防ぐには、仕事の過程を含めて褒めることだ。そうすれば、モチベーションがアップする。企業の経営者には、金銭などでのインセンティブが少なくなっているからこそ、ほかのインセンティブをどうするか、真剣に考えてほしい。従業員を重要なステークホルダーとして認識し、CSR (企業の社会的責任)の一環として、従業員のメンタルヘルス対策をとらえてはどうか。
日本には滅私奉公をよしとする風土がある。しかし、今の若い人たちは、努力してもそれに見合う報酬をあまり得られないという実態を見ているため、最初から滅私奉公的な努力をしようとはしない。そういう若者に対して、「変だ」「根性がない」「努力しない」という批判の声もあるが、実は、若者のほうがまともじゃないのかという気もする。
適応障害で2年も休んでいた若者が、東日本大震災のボランティアに行って働いている姿を見たりすると、彼らにとっての報酬は、会社の中でスキルを磨き、そこそこの賃金をもらうことではなくて、社会や人の役に立つことだということがわかる。企業も、そういった若者の変化を読み取る必要があるだろう。(東洋経済)
私も「新型うつ」という言葉になにか、違和感を感じていた。「未熟型うつ」の方が、しっくりくる気がする。
解説 メンター:手本となる人、師匠
    ステークホルダー:利害関係者、そのグループからの支援がなければ、存続しないようなグル

ープ

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