2012年6月4日月曜日

やる気と能力

東洋経済に佐藤優氏が連載している「知の技法」「出生の作法」と言う、外交官時代の経験をもとに、書いている文章は、畑は違うが参考になることが多い。その中の一節を紹介したい。
中間管理職にとって、部下に関してはある程度選ぶことができるが、上司を選ぶことはできない。人間には波長がある。波長が合わない人と一緒に仕事をすることは苦痛だが、折り合いをつけるしかない。人間の感情は相互的。こちらが「嫌だな」と思っているときは、相手もこちらについて良い感情を抱いていない。こういう人と接触が増えると、それだけ摩擦熱が生じるので、できるだけ距離を置いた関係で人事異動を待つのが、現実的方策である。さて、これらの好き嫌いを別にして、部下でも上司でも、やる気と能力の組み合わせで、以下の四つのタイプに分かれることを押さえておく必要がある。
第1型‥やる気も能力もある。
第2型‥能力はあるが、やる気がない。
第3型‥やる気はあるが、能力がない。
第4塑‥やる気も能力もない。
やる気も能力もあるという第1型は、大体どの組織にも2割程度いる。こういう上司の下だと中間管理職としては働きやすい。またこういう部下は、中間管理職の期待に応えてよい仕事をしてくれるため、基本的に扱いやすい。
最も有害なのは、第4型のやる気も能力もない人ではなく、第3型のやる気はあるが能力がない人だ。しかも当事者は、能力がないという現実を直視しょうとしない。だから暴走する。そのためにただでさえ複雑な事態が一層複雑になる。こういう部下に対しては'たとえば公的な試験(外交官ならTOEFLかIELTS)を受験させ、客観的データによって、自分の能力を自覚させることが、効果がある。
いずれにせよ第3型の場合、当人の性格によるところが大きいので、矯正は難しいというのが筆者の経験則だ。もっともこういう人は、50-100人に1人しかいないため、部下でいる間に暴走しないように注意し、できるだけ早く異動させるというのが、現実的対応だと思う。幹部が第3型の場合、上司の思いつきに振り回されず、中間管理職が自分の頭で上司の指示を取捨選択することで、難を避けるしかない。
一番厄介なのは、第3型の「やる気はあるが、能力がない」はなるほどと思う。他は対応の仕方が簡単だが、第3型は対応に困ることが多い。自分への戒めとしたい。

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