2013年9月17日火曜日

一滴

   山梨民医連新聞の一滴に掲載した文章を紹介する。
   NHKテレビで「28歳になりました。7年毎の記録」を録画でみた。最近のドキュメンタリーで見ごたえのあるものはほとんど夜遅い時間帯での放送が多い。この番組も夜中の12時頃であった。今年28歳になった若者の13人に、7歳、14歳、21歳の時にインタビューして将来、何になりたいかと尋ねている。そして今28歳に何をしているかを対峙させている。
   ある人は東北の農家の4代目の跡取りである。7歳の時は「お父さんの後をとってお米をつくる」と無邪気に答えている。14歳の時は、お米を作ることに悩み、21歳の時は長男のプレッシャーを感じ、そして28歳の今、農家を継がないで地元の企業に就職、派遣から漸く正社員になれたと喜んでいる。
   沖縄の女性は、7歳のとき「戦争はいやだ」と言っていた。28歳の今は、「7歳の時の純粋さがなくなって、現実が見えてきてしまって複雑」彼女の父親は、基地で整備士として働いている。沖縄の状況は現状維持か悪化するであろうと述べている。
   ある人は大学受験に失敗し、今は日航のキャビンアテンダントになり、頑張っている。日航の倒産を経験し、再建の使命感を感じて頑張っている。どの若者も、けなげに真面目に働いている様子がひしひしと伝わってくる。どの人の背景にも今の政治が反映している。この若者達の将来に幸あれと切に願う。
   他にも、一人っ子で検察官になりたかったが、コーヒーのチェーン店の店長をしている青年。伊万里焼の15代続く窯元を親子で頑張っている青年。歌舞伎俳優だが、世襲ではない父が死亡し、後をついでいる青年。瀬戸内の小島で育ち、今は四国本島で暮らしている女性は不便な島には帰りたくないと言っている。どの人もそれぞれの立場で一所懸命である。

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