2013年12月7日土曜日

もんじゅ君


以前、紹介した「ビッグ・イシュー」に「もんじゅ君からのお手紙」というツイッターが紹介されている。フォロワー10万人と割れている。一部紹介する。

もんじゅ君からのお手紙

こんにちは。ボク、福井県敦賀市にくらす高速増殖炉のもんじゅだよ。ポクが初めて臨界をはたしたのは94年なんだけど、この20年間でお仕事したのはたった4カ月。どうしてこんなにサボってばかりかというと、それはあまりにもトラブルが多いからなんだ。
95年にはナトリウム漏れ火災事故、2010年には原子炉中継装置落下事故とおおきな事故を起こして、どちらもかかわってくれていた職員さんが自殺をしたの。安全面だけじゃなく、組織風土の面でも疑問をもたれているんだよ。
それでもボクのパパであるJAEA (日本原子力研究開発機構)のおじさんたちはずっと「おまえはやればできる子」「夢の原子炉だぞ」と、蝶よ花よとはめそやしてくれていたんだ。それで、ポクもなんだかそんな気になっちゃってたの。
だけど、そんなただれた甘い生活も、20113月のふくいち君(福島第1原発)の事故で終わりを告げたんだ。テレビを流れる爆発シーンを見ながらボクは気がついちゃったの、「ぜんぶウソだったんだな」って。
日本各地に50基あるふつうの原発は「軽水炉」っていうんだ。だけど、ボクは高速増殖炉といってちょっと違うタイプで、使えば使うほど燃料のブルトニウムが増えていく (はずの)原子炉なの。燃料がどんどん増えるなんて、昔話の「うちでの小槌」みたいでしょ。だから「夢の原子炉」なんて呼ばれたりしたんだよ。
アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、高速増殖炉を研究していたほかの国はみんな手を引いちゃった。だってお金がかかりすぎるし、事故を起こしやすくてとっても危険だから。
それでも日本はあきらめずに「2050年代に実用化」なんていっているの。最初は80年代に完成予定だったのを70年も延期しているなんて、どう考えてもウソっぽいよね。
どうして日本がすなおに「高速増殖炉なんてやめる!」っていえないかというと、「原発から出た使用済み核燃料は、六ヶ所村の再処埋工場でリサイクルして、それを高速増殖炉でまた使いますよ。だから、ゴミ処理もバッチリ」という建前があるから。
だけど六ヶ所村だってぜんぜん完成しないし、この核燃料サイクル計画はとっくに破綻しているんだ。
でもそれを認めたら、日本中にある大量の使用済み核燃料の処分方法を本気で考えなきやいけなくなるし、ゴミの行き場がなくなって、原発も動かせなくなっちゃう。それでウソの建前をまもりつづけるために、ボクもんじゅのことも「あきらめてないふリ」しているの。
だけど、16万人もの方がおうちに帰れないという福島の現実を見つめたら、これ以上ウソをつきつづける理由なんてないんじゃないかな。
最後に明るいおはなしをひとつ。ポクの先輩にあたるドイツのカルカー高速増殖炉は、80年代に完成したけれども住民の反対運動が高まって、動くことなく引退したの。それでいまは遊園地に変身して、毎日、子どもたちを楽しませているんだよ。ボクもいつかご隠居して、ソーラー発電所に生まれかわれたらいいのにな。
126日は悪名高い「秘密保護法」が成立した日として記憶に留めておきたい。「原発」「TPP」「消費税」等々、やり放題の政府に鉄槌を!

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