2014年1月8日水曜日

日本国憲法というソフトパワー

 
平田オリザ氏の「新しい広場をつくる」(岩波書店)を読む。この本で「芸術になぜ公的支援が必要なのか」を説いているのだが、この本のなかに次のような一文があったので紹介する。
日本国憲法というソフトパワー
私は、日本国が持つ最大のソフトパワー は、先に記した憲法第二十五条、二十六条と、そして第九条だと考えている。
日本国憲法第二章 戦争の放棄
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
第二項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
私たちは、 他国の戦争や紛争を、武力介入によって収めることは出来ない。私たちの自衛隊は、戦闘地域に入っていくことは出来ないし、襲撃を受けても他国の軍隊に守ってもらわなくてはならない。
しかし私は、そのことを誇りに思う。戦後六十八年、私たちは国家としての武力行使によっては誰も殺さず、また殺されなかった。もちろん、この状態をもどかしいと思う人もいるだろう。あるいは屈辱と感じる人もいるだろう。
しかし、私たちには、他の仕事がある。
私たちは、武力による威嚇や、その行使を放棄したことによって、より積極的に、憲法二十五条、二十六条を他国へと輸出することが出来るではないか。
私たちは武器を持たず、まさに丸腰で紛争地帯に出かけていき、医療活動を行い、水道を整備し、歌や絵画やダンスを教え、花を植え、更正施設を作り、学校を建てていくのだ。
「そんなものは、軍事力によって紛争が解決したから出来ることだろう」という声も理解は出来る。しかし、炊き出しをする人と、紙芝居劇団を作る人に貴賎はあるか?それはどちらも大切なことなのではないか。紛争の再発を防止し、これを恒久的に収めるには、人間の安全保障がどうしても必要だからだ。
憲法こそが、私たちの最大の武器(ソフトパワー)だ。
安倍首相に、読ませたい本である。

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