2014年1月24日金曜日

金がすべてか


神戸女学院大名誉教授の内田樹氏は「革新懇ニュース」で「秘密保護法」に関してコメントしている。その一部を紹介する。
安倍内閣は「世界で一番企業が活躍しやすい国」をめざすといいます。私は、これを「日本のシンガポール化」「国民国家の株式会社化」だと思っています。シンガポールは、国家目的が経済発展という国です。
だから1党独裁で、反政府的な政治運動は存在しません。反政府的なメディアも存在しない。大学に入るにも「反政府思想をもっていない」という証明書が必要です。
そういう国にすれば効率的に国が運営できると思っている。これは株式会社モデルです。株式会社では役員会の議事内容を労働組合に開示しないし、従業員の過半の同意がなければ経営判断を下せないというようなこともない。利益追求のためには情報を隠すし、他社と密約もする。それが彼らの考える「決められる政治」なのです。
私たちは今「デモクラシーか、金儲けしやすいシステムか、どちらを取るか」を迫られています。そして、国民はデモクラシーを捨てても金儲けを選ぶ。安倍政権はそう思っている。その驕りが秘密保護法の強行採決に表われています。
国民国家は株式会社ではありません。この土地から離れることができない成員たちに雇用を確保し、安全を保証し、次世代を担う若者たちの成熟を支援するための制度です。これがいま解体過程に入っています。
今の日本では、「日本以外のところで暮らせる人間」たちが社会の最上層を形成し、日本列島でしか生きていけない、日本語しか話せない、日本文化に深く根づいた人たちが最下層に格付けされています。この「下層民」たちは低賃金に耐え、原発事故に怯え、高い税金を払い、「上層民」たちが効率的に金儲けをするのを支援することを要求されている。これを「国民国家の解体」と言わずして、なんと形容すればいいのでしょう。 
市民運動に必要なのは一人でも多くの賛同者を獲得することです。過度に理想主義的な目標を掲げ、それに同調しない市民を切り捨てるような態度では、政府の強権を抑制する力を持つことはできません。かつてマルクスは、「万国のプロレタリア団結せよ」とよぴかけました。共生と連帯だけが私たちの力です。
確か「相田みつを」の言葉に「金がすべてではないが、あったほうがいいなあ」という言葉があった。確かにほどほどあった方がいいと思う。今は、金集めの要領のいい人がお金を集めすぎ、ほどほどある人が減ってきている。まさに国を解体しようとしているのが安倍内閣である。

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