2014年1月28日火曜日

本の運命

 
 井上ひさしの「本の運命」という本を読んだ。タイトルからではどんな本かわかりにくい。その中で、「井上流本の読み方十箇条」のひとつを紹介する。井上ひさしと言えば、4月でもう亡くなって4年になる。
整理するから忘れるのです
「本は手が記憶する」「ああ、これはどこかで読んだことがあるな。どの本だったかな」とか、「この件についてもっと詳しく書いてあった本があったんだけどな」といった思いをしたことは、誰にもあるでしょう。ところが、これが出てこないんですね()
情報をどうやって整理するか、というのはほんとうに難しくて、僕もあらゆる方法を試しました。
一番最初に採用したのは、梅棹忠夫さんの『知的生産の技術』、京大式カードに「一件一枚」を原則にあらゆるデータを書きつけておくというやつです。僕もこれはずいぶんやりました。スチール製カードボックスを買い込んで、毎日せっせとカードをつくってはそこに貯えていた。
ところがこのやり方にも問題があって、項目の立て方をうまくやらないと、結局そのカードがどこにいったのかわからなくなってしまう。さらに間違って変なところに入れたりすると、その情報はそれっきり消えてしまう。
有能な秘書か助手がいて、毎日きちっと整理してくれているなら別ですが、フツーの人間にはそんなゼイタクは望めません。一人でこれをやっていると、いつの間にかカードがごっそり団体で迷子になってしまうんですね。
結局、ずいぶん失敗をした末に、最後にたどり着いたのは「書き抜き帳」です。
やや大きめの手帳を用意して、本でも新聞でもなんでも、これは大事だと思うことは書き抜いていく。その日、自分の目に触れて「ウン?」と思ったことを,ただ順番にずーと書いていくだけなんです。あとで参照できるように、出典とか頁数とかも書いておきます。
そんな手帳が、 一年にそうですね、五、六冊になりますか。それに番号さえ振っておけば、不思議に「あれは三冊目のあの辺にあったかな」ってわかるんです。
手が覚えているんですね。ただ、文章をそのまま写してるだけなんですが、それが一番いい記憶法だということがわかりました。
最近は、ワープロとかコンピュータがありますから、機械で抜き書きするということもできます。僕もやってみましたが、それじゃダメです。記憶に残らないんです。やっぱり時間は掛かりますけどーといっても、そんなに大した時間が掛かるわけじゃないですからー 、全部手書きで写すのが一番ですね。
私は、「本の読み方」に関することが書いてある本は、どんな本でも読みたくなる。記憶することは、脳だけでするのではないと思う。五感で記憶することが大事だと考える。

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