2014年9月5日金曜日

ミニマム生活のすすめ


 言語学者の鈴木孝夫氏の「人にはどれだけの物が必要か」という本が売れているという。もう20年も前に書かれた本が、あらたに文庫本として出版された。ごくごく一部を紹介する。
たった一人で出来る省エネルギーの努力
私が実際に日常行っていることをお話ししたいと思います。私は「できるだけ少ない物、できるだけ少ないエネルギー消費でいかに最大の幸福を得るか」という病にとりつかれてもう二、三十年になります。ですから、なるべく物は買わない、買った物は何十年も使う、そして人が捨てた物は拾うという具合で、たとえばいましている時計は今年で四十年以上になります。まスイスで一九四五年に最初に出来た自動捲きの薄型ですが、四十年間世界中を歩くのにこれを使ってきました。勿論修理に金がかかりますが、それでも愛用しています。
それから、私が先ほど炭酸ガス何トンと計算したこの電卓も、実は拾った物ですし、愛用のカバンも父親が使っていたものを引き継ぎ、今年で六十年になります。勿論、毎日大学へ持っていきます。最近、手が取れそうになって修理するのに何千円もかかるという問題がありましたが。
また、私は毎日、朝晩三十分から一時間ずつ家の近所を回って、落ちているカンを全部拾い、リサイクルできるように酒屋の店先の集積場に持っていっています。犬の散歩の時、ただ犬の顔を見て歩くのは非生産的ですから、カンを拾って歩いており、人にはどれだけのものがいるか何千カンになったか分りません。全部踏みつけて平らにして容積を小さくする。そうすると、足を切ってみたりと馬鹿なことがずいぶんあるわけです。
紙も絶対に捨てません。小さなレシートでも原稿用紙でも何でも取っておいて十キロ、二十キロと溜めて古紙回収に出しています。更に、新聞紙も自分で購読しているものは勿論、大学へは車で通っていますが、その途中に新聞紙などがまとめて置いてあるとトランクに入れて持ち帰ります。月に約三百キロくらい新聞紙・雑誌を拾い、それを古紙回収業者にただで渡しています。
「地球を救っているんだ!」という喜びがあるので「お金はいらない」というのです。もっとも雑誌などは利益が少ないので、ただでないと引き取ってくれないという事情もありますが。おおげさに言えば、東京中の古紙を拾って歩きたいと思っているのですが、なにしろ言語学者としての仕事もあれば、研究所の所長としての仕事もあるので、自分の仕事をきちんとしながら、余った時間を出来る限り地球を駄目にしないような活動に使いたいと'ささやかながら行動しているわけです。
いまこそ読まれるべき本だと感じた。大量生産、大量消費をこのまま続けていくと地球が滅びる。今なお成長戦略叫んでいるいる政権に読ませてあげたい本である。

 

 

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