2015年2月18日水曜日

日本は変わった?

 東洋経済に法政大学教授の山口二郎氏の「フォーカス政治」という文章が載っている。今回は“「テロとの戦い」と日本の針路、高揚感で憲法をいじるな”と題して論じている。人質を助けるためにはあらゆる手段を取るこことテロに断固屈しないという二つの命題について次のように言っている。
前者から見ておきたい。日本人殺害は、パリの新聞社への攻撃から始まる。 一連のテロの一環である。フランスをはじめ文明社会の人々は、言論の自由や寛容な社会を守るという強い意思表示を行った。テロとの戦いを唱える安倍首相の足元で、何が起こっているのか。
慰安婦報道に携わった元朝日新聞記者が勤務する北星学園大学に、2月初め入試を妨害し受験生に危害を加えるという脅迫状が届いた。慰安婦問題をはじめとする歴史認識に関しては、右翼や歴史修正主義者によるこの種のテロが相次いでいる。また、今でも街頭では在特会によるヘイトスピーチのデモが行われている。テロと戦う政治家は、これらの蛮行に対して、断固たる非難を行ったのか。安倍首相はインターネット上でネトウヨや歴史修正主義者に「いいね」をもらって喜んでいるではないか。首相や取り巻きが言うテロ非難は、真剣さを欠いている。
後者の問題においても、首相は主体的な決断について国民に説明していない。事件直後、首相は「日本は変わった。日本人にはこれから先、指一本触れさせない」と述べた。ここで自動詞の「変わった」を使うことは、あえて責任の所在をごまかすための話法である。彼の言う変わった日本は、以後、テロとの戦いに自衛隊が参加し、武力行使もする。その力を背景に、日本人を守ると叫んだのだろう。
彼が本当の政治家なら、ここでは他動詞の「変えた」を使い、自分が日本の方針を変えた理由とそれがもたらす帰結について国民に説明すべきであった。状況が変わったから軍事力行使を解禁する、国民は安心してついてこいと言うのでは、事変に追随して戦争の泥沼にはまった80年前の日本と同じである。
 安倍首相は「日本は変わった」ではなく「日本を変えたい、憲法を変えたい」と素直に言って国民に信を問わなくてはならない。日本語を知らないのか、知っていて話しているのか・・・・。

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