2015年2月2日月曜日

ホームレスは犯罪?


ビッグ・イシュー255号から、在米ジャーナリスト岩田太郎氏の「米国・路上から」第4回を紹介する。
米国★路土から
飢える者を食べさせるという「犯罪」 岩田太郎
「米フロリダ州南部フオートローダーデール海浜公園で、ホームレスに食事を配っていた90歳の慈善活動家、アーノルド・アポットさんが、警察に連行された」 
飢える者を食べさせることが犯罪化されたと報じる、この2013118日付ロイター電を読み、心を痛めた人は多いだろう。
ところがどっこい、アポットさんはその後も逮捕されていない。全世界の注目を浴び、当局者は手荒なことができなくなったのだ。
しかし、この条例をはじめ、「たむろ禁止条例」や「物乞い禁止条例」が全米各地の自治体で施行され、ホームレスであること自体がさまざまな名目で犯罪化され続けている。
筆者が住むイリノイ州の大学街にある商店やレストランでは、ホームレスをすぐ通報する店もあれば、トイレの使用を黙認し、追い出さない店など、対応はさまざまだ。
路上生活者と最も直接的に接するのは商人であることが多い。できる限り、人間的な扱いをしようとする店もある。フオートローダーデールの条例を推進したのは、政治的影響力を持つ地元商工会議所やビジネス団体だ。同情できる面もある。ホームレスの人たちが、店舗周辺で所構わず大小の排泄をしたり、ごみを捨てたりするからだ。身なりの汚い、臭気を発する路上生活者が店の近くにいては、売り上げが落ちる。
だが、路上生活を犯罪化すると、彼らが生きるために必要な場所や食事まで奪うことになり、「すべては自己責任、弱者は生きるな」という強いメッセージを送る結果になる。また、非人間的な対応をする商人だけを非難しても、問題は解決しない。
フオートローダーデールでは、路上生活者に230床の「ハウジング・ファースト」と呼ばれる短期のシェルターを無償で提供し、恒久的な住居に移れるよう援助する試みも始まっている。
ホームレス問題のこじらせ方は、社会の諸問題の縮図だが、そこにこそ社会全体の課題を解決するカギがある。ホームレスは犯罪ではなく、混沌とした世界を調和に導く処方箋の宝庫だから。
最後に書いてある「ホームレスは犯罪ではなく、混沌とした世界を調和に導く処方箋の宝庫」という言葉はすごい。日本の現状にそのまま当てはまる。

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