2011年6月3日金曜日

TTPとはなんぞや


TTPとは「環太平洋連携協定」(Trans-PacificPartnership)の略称で、菅首相が昨年秋にこの協定交渉に参加を検討すると言いだし、大問題になっている。世界各国では、輸入品に関税をかけることで、国内産業を保護している。TPPへの参加は、農産物を含め、すべての物品(モノ)の関税を例外なく撤廃し、自由に貿易ができることになる。物品の貿易以外にも、金融や保険、医療の規制緩和など幅広い分野を対象としている。
事実上の「日米自由貿易協定」になるのだ。日本がTPPに参加すれば、日米だけで参加国のGDP(田内総生産)全体の9割を超えることになり、アメリカ製品の日本への輸入規制が完全になくなる。
 TPPと言えば、農産物の輸入自由化の問題がメディアで大きく取り上げられているが、以下のような問題もあるのだ。以下は423日付けの「しんぶん赤旗」に載った記事である。
TPPの弊害、NGO告発  後発薬 使えなくなる  国連に書簡
 国際的な非政府組織(NGO)や学者がこのほど、国連の人権特別報告官に公開書簡を送り、交渉中の環太平洋連携協定(TPP)は加盟諸国で適切なジェネリック医薬品の入手、使用を妨害するものだと訴えました。書簡は、TPP交渉に参加している政府に勧告をするよう求めています。
 公開書簡は国連人権理事会の「万人が最高水準の保健を享受する権利」に関する特別報告官、グローバー氏宛てのもの。同書簡に署名しているのは、ワシントンに本部を置く「ナリッジ・エコロジー・インターナショナル」などの14団体・個人です。書簡は、TPP知的財産(IP)条項に関する米国の提案が承認されると、開発途上国がより安価なジェネリック医薬品を製造、輸入することができなくなり、適切な医療行為ができなくなると批判、米国による医薬品独占を図るものだと警告しました。また交渉が秘密の下に行われており、米国の影響力が過大であることも指摘しています。
 公開書簡によると、米国はTPP交渉で、世界貿易機関(WTO)の「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」(TRIPS)での医薬品特許尊重義務の基準を超える条項を提案しているといいます。
 公開書簡署名者の1人、「マレーシア積極的医療アクセス推進グループ」(MTAAG+)のエドワード・ロー理事は、TRIPSではジェネリック医薬品メーカーは、既存医薬品の臨床データを使う権利を認められていると強調。これに対し、TPPでの米提案では独自に臨床実験をやり直さなければならなくなり、実質的に医薬品を発売できなくなると指摘しています。

 ジェネリック医薬品 後発医薬品ともいいます。特許が切れた医薬品を他の製薬会社が製造・供給するものです。開発コストがかからないため、安価に供給できます。成分特許を認めていないインドなどの国では制約を受けずに製造され、アフリカなどへ輸出されています。

 TPPとは簡単に言えば、アメリカが深刻な経済危機から脱却するために、急成長を続けるアジアへの輸出を増やし、経済の主権を握ろうとする策謀なのだ。

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