2012年7月20日金曜日

メディアの偏向

民医連医療8月号の「メディアへの眼」の記事の一部を紹介する。

あらためてテレビや新聞の本質を問う
国際政治学者畑田重夫
映画監督新藤兼人さんが100歳で亡くなりました。ついさきごろ、筆者は同監督の最新作「一枚のハガキ」を鑑賞したばかりでした。
追悼放映もしないテレビ
この10月で満101歳になる医師の日野原重明さんや、96歳にしていまなお元気に反核平和の講演などで大活躍の肥田舜太郎さんらと並んで新藤監督も「元気で活躍中の高齢者」の1人として社会的にも注目され、尊敬もされていたところでした。
去る6月3日に東京・港区の増上寺で新藤さんの告別式が営まれ、俳優や映画関係者約400人が参列して別れを惜しみました。文化勲章の受賞者でもある大監督新藤さんの訃報だけに、普通ならテレビで過去の代表作の「追悼放映」をするのが当然のはずです。しかし、BSやCSでの放送はあるものの、地上波では1本の映画も放映予定はありません。
関係筋の話では、新藤監督が生涯を通して独立プロで映画を作り続けたことが影響しているのだそうです。筆者もそうに違いないと思いますが、ただそれだけではないと考えます。映画「一枚のハガキ」も反戦映画でしたが、「原爆の子」「第五福竜丸」など、新藤さんの作品のなかには反戦や反核をテーマにした映画が多いことがテレビ局が同監督を敬遠する原因になっているにちがいありません。
そんなことを考えているとき、ふと眼についたのが「東京スポーツ」紙(6月5日付)に掲載されていたある映画関係者の次のような談話でした。「最近の大手映画会社が作る作品は、テレビ局がスポンサーとなり資金を出すケースが多い。テレビにとっては東京電力をはじめ電力会社はいまだに大スポンサー。“反核”を掲げる新藤監督は“反原子力”“反原発”の立場だから協力できないんですよ。特に、今は大飯原発の再稼働について揺れに揺れている時期ですからね」。
NHKと東電との関係
ここで想起されるのがNHKと東電との深い関係です。世論の厳しい批判を浴びて兼務することだけはやめたものの、NHKの数土文夫経営委員長が、このほど東京電力の社外取締役になったことも、電力会社とテレビとの深い関係を示す好例です。
核兵器廃絶は「20世紀の未完の大業」であり、人類の悲願の1つとして21世紀の今日にひきつがれている重大な課題ですが、戦後日本で国策として推進されてきた原発も、放射能被害を及ぼす危険性をはらんでいる点では核兵器と変わりありません。昨年の「3・11」の直後のテレビに出演していた学者・研究者たちが、ひとしく「直ちに人体に影響はありません」とロをそろえて言っていたことや、内部被曝には一言もふれなかったことを思い出していただけるかと思いますが、あれこそ「原発利益共同体」(原子カムラ)の実体をみごとに反映していたわけです。「政・財・官・学・報」の一体化が日本の政治と社会を反国民的な方向へゆがめている元凶であることが今回の新藤監督の作品のとりあっかい方によってはっきりと裏づけられたといえましょう。
このように、メディアの偏向と、又、影響力は際立っている。私達も、もっともっとメディアを注視し、メディアを使いこなす工夫が必要である。例えば、「原発」へのパブリックコメンを求められたら、どんどんコメントしていくことが重要である。

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