2013年2月19日火曜日

メディアと総選挙


民医連医療3月号に「選挙制度とメディアに左石された総選挙」と題して国際政治学者畑田重夫が書いている一部を紹介する。

2012年暮れの総選挙の結果は、あらゆる意味で多くの話題や教訓をもたらしましたoまず33カ月前の政権交代以後、国民の期待を裏切り続けた民主党は、公示前の230議席から57議席へと激減するという、みるもあわれな大惨敗を喫しました。自民党は単独で過半数の294議席、連立を組む公明党の31議席を合わせると、参院で否決された議案を衆院で再可決できる3分の2を超える325議席を占めることになりました。日本維新の会も54議席を獲得して衆院で第3位に、比例では第2党になりました。
小選挙区制のマジック
メディアは「自民党圧勝」と大きな見出しで報道していましたが、その実態はどうなのか。自民党が得た294議席のうち237議席は小選挙区によるものです。小選挙区での同党の得票率は43%でしたが、全300小選挙区議席に占める割合、(占有率)79%にもはねあがりました。しかも小選挙区で自民党は前回比94万票も減らしているのです。民意は決して自民党を信頼し、期待して圧倒的な支持をよせたのではありません。
自民党の機関誌「自由民主」の20121225日号によると、安倍総裁自身が記者会見で次のように述べています。「今回の総選挙の勝利は自民党に信任が戻ってきたというのではなく3年間の民主党の間違った政治主導による政治の混乱と停滞に終止符を打つべく国民の判断だったと思う。自民党に対してまだまだ厳しい視線が注がれている。緊張感をもって結果を残していかなければならない」
ここで私たちはもう一度日本国憲法の前文に眼を通してみることが大切だと思います。前文の書き出しは、「日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し・・」となっています。今回の選挙は「正当に選挙された」と言えるでしょうか?最高裁も違憲だと判決を下している1票の格差」も是正されないままで実施されたわけですから、小選挙区制ともども「二重の意味」で「正当に選挙された」とはいえないのが今回の総選挙だったと言えると思います。
マスメディアの影響
いまひとつ、今回の総選挙では、マスメディアが民意の正当な反映を妨げる役割を演じたことを忘れてはなりません。マスメディアは、投票日前に、世論調査の結果だとして再三にわたって大きな活字で、「自公圧勝」と報じました。それをやや具体的にみると、自民党と民主党のいわゆる2大政党」と、マスコミが「第3極」とする諸政党のなかの「日本維新の会」や「みんなの党」どまりの報道ばかりでした。つまり、自民、民主、維新の会、みんなの党ばかりが新聞やテレビ等で露出するという構図が日本共産党や社民党の孤立化を促進しました。国民のなかで、共産党や社民党に入れても議席は獲得できないという「常識」が定着したわけです。今回の選挙ほど、メディアによる世論誘導が露骨かつ公然と行われたのは筆者の記憶にもあまり思い当たりません。

投票前の世論調査は明らかに、体制側の投票誘導である。期日前投票の調査も利用せれている面が大きい。まさにメディアを制したものが勝つのである。われわれにとっては厳しいが、メディアも無視できない運動しかないのである。

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