2014年3月18日火曜日

NHKと時代感覚

 
  民医連医療の「メディアの眼」はもう36回を数える。タイトルからしてメディア時評なのだが、よくNHK問題が取り上げられる。それ程、今のNHKはおかしいということであろう。以下一部紹介する。
NHKと時代感覚
NHKの経営委員の1人に百田尚樹という作家がいることはこの連載の33回でやや詳しく紹介したところです。この百田氏のツイッタ-上の発言とその後の行動が問題なのです。氏は118日、次のように発言しました。
「私は関西在住だが、舛漆にも細川にも東京都知事にはなってほしくないと思っている。もしも私が東京都民だったら、田母神俊雄氏に投票する
百田氏は23日、東京で田母神候補の応援演説に立ちました。百田氏のこのような言動もさることながら、問題は田母神俊雄という人物そのものに関することなのです。田母神氏に都知事選に立候補する権利があることはもちろんですし、彼が立候補することも本人の自由です。公共放送であるNHKとの関係で何を聞いたいかといいますと、まず今の放送法が、戦前・戦中のメディアのとった態度の反省のうえに立法化されているものであることを再確認しなければなりません。
そのうえで田母神俊雄という人物はどういう経歴の持主なのかということなのです。
自衛隊は解釈改憲によって現実に存在していますが、日本国憲法を素直に読めばそれは違憲の存在であるはずです。しかし、百歩譲って自衛隊の存在を合憲だと認めるとしても、田母神氏は航空自衛隊のトップである元航空幕僚長という経歴の持主なのです。
都知事選には16人もの立候補がありましたが、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌など日本のすべてのメディアが16人中の4強」として、舛添、細川、宇都宮、田母神の4候補を連日のように報道しただけでなく、いくつかの新聞、雑誌は、若者たちが多くかかわるネットによる世論調査の結果では、田母神候補が16人中トップだということをコメント抜きで報道したのです。
「戦争は一切しない」「軍隊はもたない」とする日本国憲法下で、事実上の軍隊である自衛隊の元トップという肩書きをもつ人物が、いやしくも日本の首都東京の知事選挙に立候補し、同氏の経歴が何ら問題にされることもなく「ワンオブゼム」で集票競争が展開され、公共放送であるNHKをはじめとするあらゆるメディアがコメント抜きで選挙状況を報道したのでした。
筆者のように、戦前・戦中の歴史を身をもって体験した人間からすれば、東条英樹が現役の陸軍中将のまま首相に就任すると同時に、中将から大将に昇進し、陸相および内相も兼任したこと、その東条内閣が1941128日、対米英開戦にふみきったという史実への着日抜きに日本の現代史は語れません。また、戦後の自衛隊の存否そのものにも無感覚でいることに自己の良心が許さないのです。
その意味で、田母神氏を都知事にという百田尚樹氏が経営委員の1人であるNHKをはじめとする、日本のメディアの歴史感覚と時代感覚を鋭く問いたいと思うのです。これは、徐々に生存者が少なくなりつつある戦争体験者としての筆者の切実な思いから出ている意見です。
最近、本屋にも「百田尚樹」氏の著書が多く並んでいる。これも、策略が感じられる。

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