2015年4月14日火曜日

キャラウエイ


東洋経済で連載されている、佐藤優氏の「知の技法、出生の作法」で今夏は沖縄の基地問題について述べている。一部を紹介する。
米軍普天間飛行場移設問題に関し、菅氏は「辺野古移設を断念することは普天間の固定化にもつながる。(仲井真弘多前知事に)承認いただいた関係法令に基づき、辺野古埋め立てを粛々と進めている」と説明した。
翁長氏は「『粛々』という言葉を何度も使う官房長官の姿が、米軍軍政下に『沖縄の自治は神話だ』と言った最高権力者キャラウエイ高等弁務官の姿と重なる。県民の怒りは増幅し、辺野古の新基地は絶対に建設することはできない」と強く批判した。/ (中略)(翁長知事は、)日米安保体制の重要性は認識しているとした上で「基地建設のために土地を強制接収され、県民は大変な苦しみを今日まで与えられてきた。そして普天間飛行場は世界一危険になったから『危険性除去のために沖縄が負担しろ』と言う。(反対すると)『日本の安全保障はどう考えているんだ』と言う。こんな話が出ること自体、日本の政治の堕落ではないか」と批判した。)
翁長知事は、安倍政権の沖縄政策が、植民地主義そのものであるということを批判しているのである。ここでカギになるのが、「キャラウエイ高等弁務官の姿と重なる」という表現だ。残念ながら、沖縄のメディア以外はこの表現が持つ重みに気づいていない。高等弁務官(HighCommissioner)とは、一般に宗主国が植民地に置いた行政最高責任者を意味する。沖縄に関しては195765日、米国のアイゼンハワー大統領が沖縄統治に関する新しい基本法として「琉球列島の管理に関する大統領行政命令10713号」を公布して、高等弁務官制を設けた。この行政命令が公布されるまでは、極東軍総司令官が沖縄の民政長官を兼ねていた。しかし、極東軍が廃止されたので、高等弁務官という役職が新設された。
高等弁務官の権限は強大で、琉球政府の裁判権は、高等弁務官の恣意的判断でいつでも制限することができたという。まさに沖縄人には菅官房長官の姿がキャラウェーの姿とかさなったのである。日本の政治の堕落である。

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