2015年4月6日月曜日

非戦の誓い


毎日新聞「毎日夫人」に月1回連載されている諏訪哲史の「うたかたの日々」を紹介する。
非戦の誓いを破る日
非戦を誓った史上最高の平和憲法、憎悪の連鎖である戦争から長く僕らを守ってきた日本国憲法第九条が、かつての空爆の地獄を忘れた、または頭でしか知らない世代の多数決によって今まさに葬られようとしている。
他国の戦争に加担し、同盟と看做され、憎悪の連鎖に陥った反撃者に街を火の海にされる。
戦争を知らぬ子孫を再び戦争に行かせず、敵国を作らないためには、今の時代に一票を持つ僕らが非戦の誓いを守り抜かなければいけない。沖縄を見よ。戦争体験者が次々に没し、戦争を直に知らない世代が来て、国から金を積まれても、戦争・戦場・基地を放棄する非戦・平和への強い意志に貫かれている。
幼稚で愚かなプライドのために、憲法を改変し非戦の誓いを破棄せんと企む者たちがいる。好戦的な政治家とその政党の支持者たちだ。しかし支持者の多くは改憲に無自覚で、日銀の作為的な金融緩和に演出された偽の好景気に満悦させられて、非戦の誓いを破る政策までを一緒くたに支持してしまっている。
例えば僕が好戦党の党首なら、どうやって九条を葬るだろう。まず国民の悲惨な戦争の記憶が消えるのを待つ。人は忘れる生き物。だから語り伝えを邪魔し、人を無知にする。次に、子供には他国より日本を愛せと教育する。世界の前に日本が大事。日本民族は優秀。そう国のエゴを刷り込む。最後は改憲の国民投票だ。投票権を20歳以上から18以上に引き下げ、より戦争を知らない票を取り込む。
投票は政治家が操作できる。多数決とは喩えれば、18歳~死までの限られた長さを持った「投票権の吊り橋」を渡るその時代の乗り合わせ者の中の瞬間多数を捉えて決議し、後にこの「日本」という橋に知らずに足を入れる新人たちの運命までを決めてしまう恐ろしい行為だ。
戦争を知る多くの者が橋を渡り終えようとしている。後には陸続たる愛国少年の群れ。非戦と平和とが不可分であることを知る僕らのせ代の眼が黒いうちは、九条の誓いは破らせまい。
投票権を18歳にする真の狙いは、政権が戦争を知らない票を取り込むことにあるのは、隠ぺいされている。

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