2011年10月18日火曜日

政治家か政治業者か


民医連医療の「メディアへの眼」の第7回に、政治家か政治業者かと題して、畑田氏が述べている。私は政治業者を「政治屋」と呼んでいます。以下概略を記す。

またまた日本の政権が交代しました。この5年間で6人の首相が登場しては去り、こんどの野田首相は7人目です。2009830日の総選挙の結果、戦後史上初のその名にふさわしい政権交代が実現して民主党政権になったのでした。民主党政権には国民の期待がよせられていたのですが、その民主党政権になってからでももう鳩山、菅、野田というように早くも3人目の総理大臣です。
ステーツマンとポリティシャン
諸外国の友人たちは、「また日本では政権が代わりましたねえ。コロコロと代わるので首相の名前が覚えられなくて困るよ」と言います。
自公政権当時のことでしたが、やはり外国の友人たちは「また日本はポリティシャン首相ですねえ」と言ったものでした。それは、小泉、安倍、福田、麻生の各首相が1人残らず世襲の政治家だったということが根底にあってのことでした。英語でいえば、「政治家」は「ステーツマン」なのですが、たとえば、世襲の政治家などについては「ポリティシャン」すなわち「政治業者」とか「政治屋」というわけなのです。
真のすぐれた政治家とは、自分なりの「政治哲学」をもっていて、自分の頭、自分の言葉で政策をねりあげ、それを国民・大衆に伝達する能力を身につけている人間のことをいうわけです。ところが、どうも日本の歴代首相の多くは、父親、祖父、曾祖父らの知名度や地盤のおかげで政治家になれたにすぎず、真の政治家の名に値する人材が非常に少なかったのです。
原点にたちかえることの大切さ
原点といえば、まずは日本国憲法であるべきです。とくに同憲法99条は、総理大臣をふくむすべての「国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員」にこの憲法を「尊重し、擁護する」ことを義務づけていることを忘れてはなりません。
そのうえでのことなのですが、民主党には20098月の総選挙の時に国民(有権者)に約束した「マニフェスト」という原点があります。政党というからには、党の綱領というものがなければなりませんが、そもそも民主党にはその綱領がありません。これは同党にとって死活的に重大な問題点です。
閉塞感にみちた日本とミニコミの大切さ
日本はこのところ閉塞感に覆われています。国の借金はGDP2倍にも及ぼうとする1000兆円弱に達しており、深刻な財政難は世界的にも突出しています。そのうえ、フクシマの原発事故を含む311の広域複合大惨事が国民生活を根底からおびやかしています。そこへ台風12号が追い打ちをかけて国民をいっそうの困難と不安におとしいれています。こういうときこそ「政治」がしっかりしなければならないのですが、その政治の劣化がきわ立っているというのですから、何をか言わんや、というべきです。
しかし、よく考えてみれば、政治家ならぬ政治業者や政治屋たちを選挙で選出したのは、ほかならぬ私たち国民(有権者)です。したがって、私たちは、日本の民度を高めるために、日常不断の努力をつみ重ねなければなりません。
国民の世論や意識を考えるとき、さけられないのはマスメディアの問題です。日本のマスメディアは、基本的に、日米支配層の立場にたつ情報を流すことに終始しています。それは、「政・財・官・学・報」の利権一体化の典型ともいうべき「原発利益共同体」の一環としてのテレビ報道がはっきりとその本質を現わしていました。それでも、「原子カムラ」に属さない放射能関連の専門家、たとえば安斉育郎氏や小出裕章氏らが時々ではあってもテレビの画面に登場するようになったことは、世論の変化とその支持が徐々にではあっても、マスメディアの内容を変えさせる可能性があることを示しているといえましょう。
しかし、まだまだ一般的には、日本のマスメディアは、国民の立場に立っているというには、あまりにも国民からかけはなれています。たとえば今夏の原水爆禁止世界大会の報道についてです。1992年以来一貫して世界大会のスポークスマンをつとめている私の友人S氏いわく、「ちゃんと新聞記者たちに大会の内容や今年の大会の特徴などについて伝えておいたのに、マスコミでは全然報道されませんでした。これほど徹底して完全に無視されたのは、今年が初めてでした」と。
それだけに、労働者・国民の立場にたつ私たちの間における事実にもとづく正しい情報の普及や日常的な学習がますます大切になっているといわなければなりません。本誌をふくむ各民主団体が発行する機関紙・誌が果たすべき役割が、今日の情勢との関連からみていっそう重大性をおびてきたといえましょう。つまりミニコミの大切さということです。
もし、マスコミのなかで、いいと思う放映や放送、あるいは新聞や雑誌などの記事が眼についたときには、「あれはよかった」と言って電話をするなり「読者の声」欄などに投稿するなりしてはめてあげたり、激励をしてほしいし、逆によくない番組や記事などがあれば、大いに批判してほしいと思います。

私達も、自分にできるとことから、声を出し、行動することから始めたい。

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