2012年2月2日木曜日

日本の政治

朝日新聞に面白い記事があったので、紹介しよう。愛知県立大学準教授の与那覇準氏の記事の一部を紹介する。日本の政治は「中国化」しているのか?と言う問に対しての氏の考えである。

どこが中国的ですか?
「民意という名で道徳感情に火をつけ、巧みに活用する点ですね。中国と西欧の政治の違いは、権力の暴走をコントロールする方法です。西欧は『法の支配』によって、議会が制定した法で王権を縛った。中国では『徳治』を掲げてモラルで縛る。強すぎる皇帝に対し、儒教道徳の体現者にふさわしい統治を、という期待で制御しようとした」
55年体制下の日本の政治家は、業界団体や労働組合などの『ムラ』の組織票が権力の源泉でした。組織が弱体化した今は、もう移り気な民意に頼るしかない。小泉さんも橋下さんも、既得権益という『悪』を設定して、それと闘う白分を『徳治者』にみせることで支持を得る。首相公選制など、行政の長との一体感を求める声が高まるのも、西欧的な議会政治がまどろっこしくて、むしろ中国式に『私利私欲を超越した道徳的なリーダーに全部任せよう』という『一君万民』的な方向へ向かっているからでしょう」
 日本も「徳治」の国になりつつあると?
「ただ、徳治は為政者の道徳観が絶対的に正しいことが前提なので、価値の多元性を認めない。統治者と違う価値観に対しては、冷たい国になる危険が伴います。小泉さんや橋下さんのように『選挙で勝った以上、自分の考えこそが民意だから、妥協は必要ない。文句があるなら次の選挙で引きずり降ろしてみろ』ということになる」
今の中国共産党は徳治をしているのでしょうか?
「あれだけ資本主義になっても、建前だけは共産主義という『道徳』の看板を降ろさないのは、ある意味で徳治の伝統が生きているともいえます。宋朝から千年間やっているから、建前と実態にギャップがある状態に国民が慣れきっているのでしょう.日本人はその点ウブで、本気で為政者のモラルに期待して、そのつど本気で絶望しちゃうから、政権が安定しない」

民主主義とは時間がかかるもので、面倒なものだ。面倒くさいことが嫌いな人が多くなると、医療で言えば、事故がおこり、政治でいえば独裁者が出てくることになる。

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