2012年9月5日水曜日

落合恵子

雑誌「週刊金曜日」に落合恵子さんが、日誌を連載されている。タイトルは「犬の遠吠え、花に嵐」である。8月31日号の日誌を紹介しよう。

八月★日 あと数日で八月も終わる。夕暮れが早くなった。夕暮れ時の空の色も微妙に変わってきた。残暑はまだまだ続きそうだが、わたしたちはこの夏再び「体験」した。充分に予想されたことだが、あれだけ喧伝された「電力不足」は現在のところ起きていないことを。
この国にある原発のたったふたつ、関西電力おおい大飯原発三、四号機しか稼働していないにもかかわらず、酷暑を乗り切れた!この夏である。
この「体験」をわたしたちは再度深く心に刻みたい。個々の企業や個人の節電の努力もむろんあるが、「乗り切れた」という「この体験」を最もさせたくなかったのは、誰なのか。それゆえの拙速な再稼働であったことを、わたしたちは忘れない。
今日は神戸で保育士のかたがたの大会が。それぞれの保育士さんたちは日々、それぞれの子どもと向かい合っている実感から、また自らの育児の体験からも、反原発への思いが深く、熱いo終了後、「毎日新聞」の、平和についての取材を。翌日は宝塚市を訪れるので、ほんとは関西に一泊したかったが、もろもろの仕事が終わらず、帰京。

八月★日 宝塚市に。行ったり来たりで、駄な移動をしているようだが、読みかけの本を読んだり、週刊誌を比べ読みしたり、立葵が押紙のような花をつける車窓から風景をただただぼーと観ている時間は心地よい。こういう時間を失うと、気持ちがささくれだってくるのがわかる。
集会やデモがあった夜などはだから、急いで帰宅して食事を作るようにしている。茗荷や大葉やネギやオクラを細かく切って、冷奴に載せたり、わが家のプランターで育ってくれているルッコラを摘んでトマトとサラダにしたり、茄子とシシトウガラシの味噌妙めだったり。どれもがすぐにできるものばかりだが、この時間を省略してしまうと、暮らしが荒れていくようでこわい。

八月★日 多くの聴取者に歓迎されている、毎日放送の「たね蒔きジャーナル」が打ち切られるのではないかという『東京新聞』の記事を読んで心配していたが、今日訪れた明石でも、そのことが話題になる。すでに多くのひとが存続のための活動に取り組んでおられる。小出裕幸さんのお話を始め、どれほどわたしたちは学んできたか。  
メディアのありかたについても、昨年からわたしたちは多くのことを学び、「体験」した。
いつも書いていることだが、大事なのは単なる「体験」をしたということだけではなく、「体験」から何を引き寄せ、自らのテーマとするかである。
 生きていくうえで、しなければならないことを省いていくと、暮らしが荒れていくというという言葉、本当にそう思う。何事も面倒くさがらないことが大切である。
体験から、行動へ移すことが、今程求められている時代はない。

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