2012年9月7日金曜日

杉浦日向子

杉浦日向子という名前をご存知かな?昔NHKで「お江戸でござる」という番組があった。そう「えなりかずき」がまだ子役で出ていた番組である。そこで、江戸の風俗、言葉等を解説していた女性である。漫画家であり、江戸風俗研究家である。彼女の書いた「入浴の女王」という本の中で、名古屋人の事を書いている部分がある。彼女は温泉と酒が好きで、全国の温泉を訪ねながら、酒をたしなむ。ついでに人間を観察している。面白いので一部紹介。
名古屋はインビだ。何度訪れても、名古屋を構成する名古屋人の気質とは何なのか、まるで分からない。外部から見えにくいのがインビだ。地下が繁盛するのもインビだ(ちなみに名古屋は、我が国に於ける地下街発祥の地と言う)。
それだから、謎の名古屋人は、様々な風説を生むことになる。日く、名古屋人は猫と会話が出来る(みゃあみゃあ)。名古屋人は八丁味噌を塩胡椒に次ぐ世界三大調味料と信じている。名古屋人の大好きなエビフリャーは名古屋城のシャチホコを象ったものであり、名古屋人なれば、三日に一度はエビフリャーを食べないと禁断症状が現れる云々。名古屋人はそれを逆手に取り、自らギャグとして演じる事により、本質を包み隠すプロテクターとして利用するから、ますますシッポがつかめない。
今回取材した名古屋人は四人。異例の多さである。
彼らはいずれも快く取材に応じ、饒舌に語ってくれたが、他所行きの「標準語」がまどろっこしい(彼らはみゃあみゃあを封じ、外部の者によそよそしく 「ですます」を用いた)。のれんに腕押し糠に釘。きしめんのようにするするとりとめもなく気持ち良く時は過ぎ、ういろうのようにもちゃもちゃとどんより不透明、やさしい甘さに油断すれば、後で腹へずっしりと来て、騙まし討ちにあったような妙な気持ち。ガードが堅いのか、なかなか中に入り込めない。玄関先で適当にあしらわれている気がする。ラチが明かない。
質問と別の所から答えが返って来る。質問を遮って自分の話をする。核心をはずす。それが、わざとはずすのではなくて、どうやら自然体でソウなるらしい。T西マンタといると、物事がチャキチャキ運ばず、ポとわしはイラつく。大海にたゆとうマンタのようなラチの明かなさは、T西個人のキャラクターとばかり思っていたが、名古屋人の特質なのだった。
「あれはもう名古屋の風土病ですよ」とポは言い捨てる。万事のんびりしているようでいても、さにあらず。名鉄での名古屋人は豹変。中日球場で対巨人戦を応援するドラゴンズファンと並ぶ凶暴さを発揮する。電車到着、ドアが開くや一斉に車内へなだれこむ。手荷物で連れの席を確保するのは、東京ではオバチャンの独壇場だが、名鉄では小学生から老紳士まで、ためらわずやる。席がないと見るや、ドア付近に踏みとどまって、奥へ行かないから、中はガラガラなのにドア付近だけが異様に混雑。降りる時は人より早く降りたいのだ。程を知らないマイペース。
預けたらおろさない名古屋人の貯蓄高は全国一。クレジットローンも不人気。定価に上乗せされる利子を嫌うのだ。地味で堅実な(と名古屋人自らが言う)名古屋人は、借金と在庫は嫌い。捕らぬ狸の皮算用はしないのだ。
「しわいと言われながらも、名古屋の嫁入りは派手だよねえ」
満載された花嫁道具を見せびらかすためのガラス張りの4トントラックは、他に類のない奇習である。
「あれは賛沢や無駄とは違います。見栄は大切ですから張るときは張ります。後々使」える物には金を惜しみません」と0本氏。
余暇をよからぬものとする勤勉な名古屋人にレジャーは無縁。形の無いものに金を使わない名古屋人は、家庭雑貨や衣料品などの使える物のショッピング(それは必ず値切らなくては意味がない)でストレス解消する。名古屋人の生んだ唯一の娯楽、パチンコは、日用品が景品というセコさがウケているらしい。
夜は家へ帰って酒を呑むから、九時過ぎの名古屋はゴーストタウンと化す。実利を尊ぶ名古屋人は、酒も酔えれば良しとの信条で、ペットボトルの焼酎がヒットする。
伝統を重んじる名古屋人は、軽桃浮薄な流行にはおいそれと惑わされない。ナタデココやパンナコッタは、結局名古屋では流行らなかったが、あんトースト(トースト餡添え)や、コーヒーには必ずピーナッツが付く伝統は、頑なに守られている。「家を持たなければ一人前ではない」と言われる名古屋では、持ち家の所有率が、三大都市の中でダントツの六割を越える。ケチケチ貯めて、どーんと建てる。大事なオタカラを他人におめおめ取られる賃貸などは我慢ならない。
無駄を嫌う名古屋人は、いつ来るか知れぬ来客のための応接室など不要と考えている。そこで名古屋では喫茶店が繁盛する。
人が来れば喫茶店へ引っ張って行く。商談も喫茶店。数百円で「奮った」優越感が得られるし、家庭へ土足で踏みいられ、家計簿を値踏みされる危険もない(名古屋人は値踏みが好きで、なんでも金に換算したがる性癖がある)。名古屋には喫茶店が多い。自動販売機の数より多いと思われるほど、マメにある。
この喫茶店のモーニングサービスが凄い。コーヒー1 杯分の値段で、コーヒー、ピーナッツ、バタートースト、卵、バナナが付く。忙しい朝などは、家族揃って喫茶店へ駆け込むほど、安直に活用されている。こんな現象も名古屋ならではだ。

西、ポ、O本とかは、人の略名である。私は岐阜生まれなので、名古屋人に近いので良くわかるが、ここまでどぎつくない。少々大げさに書いてあるが、半分以上は当たっている。山梨生まれの人は、東海地方の人と付き合うときは上記のことを知っておいたほうがいい。(名古屋出身に人がいたら、ゴメン)


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