2013年6月10日月曜日

働く理由・理想の仕事

 
毎日新聞の日曜版に日本医科大学特任教授海原純子氏の「新こころのサプリ」に「働く理由、理想の仕事」というエッセイが載っていた。一部紹介する。
就職活動中の学生さんに「どんな仕事をしたいの?」とたずねたら、「人を幸せにする仕事なら何でもいいんです」という返事が返ってきてびっくりしたことがある。自分が若いころはそんなことまで考えるゆとりはなかったなあ、などと思いつつしばらくして同じ質問を別の大学でしてみたらやはり同様な答えが返ってきたので今の学生さんたちはそうした視点をもって仕事に臨んでいるのか、あるいは就職試験用の模範的な解答なのか、どうなのだろう、などと考えてしまった。
さて、この就職難の時代、せっかく就職したのにすぐやめてしまう若者に理由をきくと「やりがいがない」という返事が返ってくることが多い。これまたびっくりする。やりがいがある仕事を担当するまでどれ位時間がかかることだろう。そして更に大学卒業後、優秀なのに何度就職してもすぐにやめてしまう人にきいたら「尊敬できる上司のもとで働きたいがいない」という返事でこれにも驚いた。
若い人たちの意見をまとめると、人を幸せにして、やりがいがあって、尊敬できる上司がいる職場での仕事を求めているのだ。とてもよくわかる。しかしひとつ大事なことを忘れている。
理想の仕事ができるようになるには多くの時間と努力が必要で困難がある、ということである。人を幸せにするために忙しさで自分の体に負担がかかり生活に支障をきたすこともある。
そのバランスをどうするか。やりがいのある仕事ができるまでの一見無駄にみえる雑用のような仕事をどのようなモチベーションでのり切るか、ドラマに登場するような理想の上司がいなくてもどうのり切るか、そんな困難の中を自分なりに生き抜いた時、はじめて成長した自分に納得できることを知らせなければいけない。
ドラマで理想の上司や仕事を放送するのはいい。しかし現実の厳しさの中で成長する苦労と喜びも伝える必要があると思う。
これを読んで私は、以前紹介したことのある渡辺和子氏の「置かれた場所で咲きなさい」という本を思い出した。

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