2013年6月19日水曜日

パロディーの愉しみ

  詩人・作家の森真紀氏のエッセイの一部を紹介
先妻は忘れた頃にやってくる(天災は忘れた頃にやってくる)恐ろしいことわざである。それに比べれば、三年前、北千住のレスーランで起きた。あの、フルコース順序間違い事件の「前菜は忘れた頃にやってくる」のほうが、とぼけていて可愛い。
落選身につかず(悪銭身につかず)何回落選しても懲りずに立候補する大地主のじじいのこと。
自信なくなり家事親(地震かみなり火事親父)リストラ時代の悲劇である。
金は万票のもと(風邪は万病のもと)政治家が好む座右の銘。たぶん世界共通。
衣食足りて警察を知る(衣食足りて礼節を知る)セーターを万引きしたうえ、レストランで無銭飲食して逮捕された男が、生まれて初めての警察の取調室でつぶやいた言葉。
悪妻盆に帰ら(覆水盆に返らず)生まれて初めお盆休みくらいは、女房に実家に帰ってもらいたいものである。朝寝、朝酒、朝湯のあとは、あーしてこ-してと夢はふくらむ。ところが悪妻にかぎって・・・。(以下削除)
 笑われっ子世にはびこる(憎まれっ子世にはばかる)テレビを見ていると、本人は笑わせているつもりなのだろうが、じつは笑われている、というケースが多い。
壁にしみありたたみに目あり(壁に耳あり 障子に目あり)ただのふつうの和室である。
親が死んだとよく休み(親が死んでも食休み)小さい項、忙しい親にかわっておやつを買ってくれた近所の「育ての親」が死んだからといっては休み、マッキーというあだ名を付けてくれた「名付けの親」が死んだからといっては休み、旅行の途中で道に迷ったとき、親切に道を教えてくれた「わが道を教えてくれた親」が死んだからといっては休む男が居る。いろいろな「親」が居るらしいが、「産みの親」はふたりとも健在らしい。
 一人でくすくす笑える。

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