2013年6月6日木曜日

天皇と人権

 
直木孝次郎の「歴史を語り継ぐ」からもう一つ紹介する。
天皇と人権
このごろ私の思うことの一つは、天皇と基本的人権の関係である。
憲法は国民の基本的人権を保障しているが、その一方で、皇位は世襲と定め、皇室典範の規定では天皇の長男は皇位を継ぐことになるから、天皇の長男には職業選択の自由がない。
天皇になると、先祖の神をはじめ八百万(やおおろず)の神々を祭らねばならないから、キリスト教の信徒になったり、仏教を奉じたりすることができない。天皇には憲法の定める信教の自由(第二十条)も職業の自由(第二十二条)も空文である。
結婚も「両性の合意にのみ基く」と憲法の第二十四条に規定するが、皇室典範では「皇族会議を経ること」とし、真の結婚の自由はない。
念のために皇室会議の構成を記すと、議長は首相で、衆参両院の正副議長、宮内庁長官、最高裁判所の長官と判事一名、皇族二名の計十名である。
このように基本的人権のない天皇を、日本の象徴として仰ぐというのは、日本人の人権意識の希薄にもとづくのではあるまいか。二〇〇七年五月の憲法記念の日に、私はつぎの短歌を作った。
天皇制 やめて天皇に あげたきは 基本的人権 信教の自由
天皇を、天皇自身の基本的人権の観点から論じているのはすごい。我々の人権意識の希薄さからきているとは・・鋭い。

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