2014年11月19日水曜日

メッキ


毎日新聞の小さな記事に、同志社大学教授、浜矩子氏の「メッキはがれたアベノミクス」という囲み記事が載っていた。今回の「解散・総選挙」の実態を簡潔に示しているので紹介する。
景気は悲惨な状況だ。消費や設備投資といった内需が低調なうえ、円安効果は輸出額よりも輸入額を増やす方向に働いて外需も伸び悩んでいるからだ。消費税増税だけのせいだろうか。アベノミクスのメッキがはがれ、本当の実態が見えてきたのではないか。
アベノミクスの問題点は、ご祝儀相場のように市場をあおり、株価を上げれば、皆が元気になると考えたこと、そして「円安が進めば日本経済は成長する」という時代錯誤の考えで政策を進めたことにある。これらの問題点の結実が今の景気だ。実体経済がここまで追い込まれる中、消費税を再増税してはつじつまが合わない。財政再建の観点からは禍根を残すが、増税の延期はアベノミクスの当然の帰結と言える。
でも、アベノミクスの失敗と衆院解散・総選挙との間に脈絡はない。将棋で負けそうになったからといって、将棋盤をひっくり返すようなものだ。「野党の準備の整っていない今なら選挙に勝てる」との安倍晋三首相の思いしか見えない。本来であれば国会で説明をし、論戦を経て仕切り直しの方向を示すべきなのに、衆院選で目くらましをしようとしている。国会論戦という民主主義のプロセスを無視し、国民を愚弄する行為だと思う。
日本経済が抱えている一番大きな問題は、豊かさの中の貧困問題だろう。富が偏在しているから中低所得者の財布のひもが締まり、消費が盛り上がらない。今やるべきことは、富者をますます富ませる株高・円安推進策ではない。弱者救済の観点を前面に出した、貧困世帯や低所得者の生活支援だ。
消費税増税も安易に先送りするだけでなく、その間、軽減税率導入といった有効な低所得者対策を考えてほしい。同時に、高額商品に「加重税率」をかけるなど、お金持ちから税金をとれるようにする努力も忘れてはならない。
 まさに、だだをこねた子供が、「こんなはずじゃない!」と言って、将棋盤をひっくり返すようなものだ。

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