2014年11月21日金曜日

モンゴル


毎日新聞の「発言」(海外から)を紹介。
北朝鮮の核には包括策で
ジャルガルサイハン・エンクサイハン モンゴル特任大使
モンゴルは冷戦終結後、市場経済を採用し非同盟政策をとるようになった。だが、社会主義時代の旧友を見捨てることはしていない。北朝鮮はそんな国の一つだ。多くの分野で関係強化を図り、地域の核安全保障の問題でも定期的に意見交換している。
北朝鮮は核兵器を開発し保有する理由について、米国と西側諸国が北朝鮮の政治体制に敵意を抱き、転覆させようとしているからとか、米国が直接・間接的に核兵器で威嚇するから自国防衛に必要だと説明する。他国を攻撃する意図はなく、抑止力なのだと。
我々は、そのような問題は政治的に解決されるべきだと考えている。軍事的に解決しうるのは問題の一面でしかなく、軍備増強は持続できない。平和共存のためには、課題をオープンに話し合い、妥協点を探ることが必要だ。北朝鮮の核兵器はモンゴルに対して向けられてはいないが、いかなる核も世界中への脅威となる。核大国の中露に挟まれたモンゴルはこれまで、核兵器の非合法化や廃絶を支持してきた。
我が国は独自に非核兵器地帯を宣言し、その地位を核保有5カ国の米英仏霧中が尊重すると確約してくれた。北朝鮮にもこうしたモンゴルの非核政策を伝えてきた。だが、北朝鮮はモンゴルとは状況が異なると考えている。
北朝鮮と日米中韓露が核問題などを話し合う6カ国協議・は、2008年を最後に開かれていない。残念ながら現時点では「やるべきことをしていない」と互いに非難し合うだけで、解決に向けた政治的意志が十分でない。
6カ国協議を再開させ、北朝鮮の非核化を進めるには、モートン・ハルペリン元米大統領特別補佐官が提唱した、6項目の包括的アプローチが理にかなっている。北東アジア非核兵器地帯の創設をはじめ、朝鮮戦争の戦争状態の終結やエネルギー支援などが含まれ、お互いに利益となる内容だ。
交渉は簡単ではない。だからこそモンゴルのエルべグドルジ大統領は昨年9月、国連総会の核軍縮ハイレベル会合で北東アジア非核兵器地帯の創設に向け、非公式な場で可能性を探ることを提言した。日本も唯一の戦争被爆国として、重要な役割を果たすことができる。来年被爆70年を迎えるにあたり、北東アジア非核兵器地帯の可否について検討を始めてはどうだろうか。
モンゴルと言えば、ほとんど「大相撲」の横綱の出身地ということしか浮かばないかもしれない。モンゴルの大統領の提案はまさにその通り。

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