2012年10月12日金曜日

年金問題

「もうダマされないための経済講義」光文社新書(若田部昌澄著)の中で、年金制度のことを書いてある部分で、わかり易い表現があったので、紹介する。
負の遺産としての年金制度
まずは、年金制度です。年金制度は壮大な再分配の仕組みです。飯田泰之さんが『脱貧困の経済学』(雨宮処凛との共著、自由国民社)で書かれていますが、日本の再分配は、お金のある人にお金がない人が貢ぐ制度になってしまっています。
年金は、若い人から高齢者にお金が流れる仕組みです。高齢者には、豊かな人もいれば貧しい人もいますが、若者は全体として貧しい人が多く、蓄財もそれほどできていない。それなのに、高齢者に若い人のお金が渡るという、非常にねじれた形の所得再分配が起きています。
そうなってしまった理由は、端的に制度の問題としかいいようがありません。厚生労働省は「修正積立方式」と呼んでいますが、日本の年金は、基本的に現役世代の稼ぎが高齢者に割り当てられる「賦課方式」です。
「積立」とは、自分が積み立てたものから払われる方式ですから、個人的な貯蓄と似ています。例えば自分で100万円を預けておけば、 100万円もらえるということです。もちろん、貯蓄であれば利子もついてきます。ですから、「修正」積立方式というには、かなり本質的な修正が加わっていることになります。
そもそも年金制度に反対する人もいます。「個人が貯蓄すればいい。老後に備えるのなら、それでいいではないか」。それに対する反論は「若いうちに遊んでしまって、老後になって気がついたら、アリとキリギリスのキリギリスみたいになってしまう人がいる」というのが代表的なものでしょう。「それはその人の勝手だ、その人がそう行動したからしかたがないのだ」という人は、現代社会ではやはり少数派です。老齢者がそのように貧困に陥っていくと、社会全体にとって良くないと考えるほうが一般的でしょう。
政権与党は、年金問題を解決する方法として「消費税」を考えている。確かに賦課方式では、老齢者の年金を現役世代が支払っている。早晩、この制度はパンクすることは目に見えている。少子化問題は最優先課題である。解決する方法は、高齢者問題と、貧困問題を別個の問題として取り組む必要がある。これは簡単な問題ではないが、議論が重要である。

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