2012年12月3日月曜日

ほんものは誰だ


毎日新聞の山田孝男氏の「風知草」というコラムは、読むに値する記事である。
123日の記事は以下である。

ほんものは誰だ?
 脱原発政党の集散めまぐるしい。「日本未来の党」と「日本維新の会」だ。今後の風向きしだいで大量の議席を奪い、政権参加の可能性もある。
 脱原発へ「未来」はアクセルを踏み、「維新」はブレーキをかけた。方向は逆だが、寄せ集めの軍勢に即席党首でタガをはめた構造は似ている。
 スケジュールはともかく、この2勢力は脱原発を達成できるか。難しかろう。党首のイメージと舌先だけでは脱原発の前に立ちはだかる「青森県」「イギリス」「アメリカ」の壁を突破できないからである。
 「未来」「維新」と同じように寄せ集めから出発し、曲がりなりにも結束した民主党は脱原発に挑み、三つの壁にはね返された。経緯を見よう。
 まず、青森県だ。ここには各原発から出る使用済み核燃料の再処理工場がある。日本ではここだけ。脱原発なら、青森県は使用済み燃料の搬入を引き受けてくれない。なぜか。
 脱原発で再処理の必要がなくなるのに、引き続き使用済み燃料が持ち込まれれば、青森県が核のゴミ捨て場になる。だから拒否。だが、そうなると、原発を抱える自治体が困る。原発敷地そのものが核のゴミ捨て場になってしまうからだ。
 危険ゴミの持って行き場がない。だから目をつぶって自転車をこぎ続ける。この危うい構造を変えられなかった。
 次にイギリス。日本は英仏に使用済み燃料の再処理を委託している。このうちイギリスの再処理工程で出た高レベル核廃棄物が、この年末から順次、これも青森県の中間貯蔵施設に戻ってくる。脱原発では青森が荷受けできず、そうなれば船がイギリスを出港できない。
 じつは、この点こそ、野田政権が「原発ゼロでも再処理は継続」という矛盾した決定(9月19日)に追い込まれた急迫の原因だった。関係者によれば、閣僚が問題に気づいたのは決定の半月前だったという。
 最後にアメリカ。核拡散に神経をとがらせるアメリカは「再処理継続」に反発した。「再処理加工したプルトニウムを原発で燃やさないなら、核兵器をつくる気か」と。イラン、北朝鮮に示しがつかぬ−−と言われたかどうかは知らないが、「今まで通り、原発も動かしましょうや」と意見された。
 以上、野田政権の「原発ゼロ戦略」閣議決定が微妙にトーンダウンした背景である。再生可能エネルギーの将来性や、経済活性化方策についてはビジョンを示せても、内外の産業・軍事基盤を揺るがす根っこの構造には斬り込めなかった。
 ならば「未来」「維新」は斬り込めるか。疑問だ。
 「未来」の主張には濁りが少ない。が、我々は、清新な新政権が善意の公約を守れなかった現実を見たばかりだ。
 記事は遠慮がちであるが、自民も駄目、民主も駄目、第3極も選挙目当ての寄せ集めと言っている。根本の日米安保に切り込まなければ、解決しない話ということである。おのずと支持する政党は決まってくる。

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