2013年3月18日月曜日

 
 再度、佐藤優氏の「新聞」に関する考え方を紹介する。
国際的にも新聞の購読者層は減少している。しかし、政治、経済、文化エリートは、依然として新聞を読んでいる。この傾向は今後も続く。さらに書籍ならば、10万部を超えればベストセラーだ。全国紙はいずれも数百万部発行されている。新開は1日だけの大ベストセラーと考えるべきだ。大ベス-セラーは、人々の物の見方、考え方に、知らず知らずのうちに影響を与えている。
また、インターネットで無料で入手できる情報は、ほとんどが二次、三次の情報だ。インターネットでも、根っこになる第一次情報として用いられる情報の比重としては、新聞が圧倒的に大きい。新聞との付き合い方を変えるだけで、読者の情報力が飛躍的に高まると筆者は考える。これからしばらくの間、新聞活用法について詳しく論じたい。 
この連載では、以前にも新聞について論じたことがある。しかし、当時とは、大きな与件の変化があった。それは、新聞の電子化が進んだことだ。それゆえに、これまでとは異なる新聞の読み方の技法が必要とされる。
新聞電子化に対応した新たな読み方が必要
筆者だけでなく池上彰氏も新聞の重要性について強調している。そのせいか、がっついた若手ビジネスパーソンの中で、最近、宅配やコンビニで朝日、読売、毎日、日経、産経、東京を全紙購読する人がいる。
「これまでセミナーに参加したり、ビジネス書を買ったりしていたのを新聞に切り替えました。池上さんが、ベタ記事に重要な情報があると強調していたので、1面、総合面、政治面、国際面、経済面については6紙の記事のすべてに目を通すようにしています。こういう新聞の読み方を続ければ、情報力がつくでしょうか」という質問をときどき受ける。
こんなとき筆者は、「こういう極端な手法では情報力はつきません。そんな新聞の読み方をしていたら、読むだけで3-4時間かかります。そうなると本来の業務に専心できなくなる。池上さんがベタ記事から重要な情報を読み解くことができるのは、背景事情に関する膨大かつ正確な情報を持っているからです。ベタ記事を海上に浮かんでいる氷山の頭とすると、海中にはそれよりもはるかに大きな氷塊がある。この氷塊が教養です。教養が十分に身に付いていない人が、形だけ池上さんのまねをして毎日ベタ記事まで細かく読んでも、情報力は付きません。むしろ、こんなに一生懸命に新聞を読んでも'情報力が全然つかないと自信をなくしてしまうことになります。
ジャーナリズムで働く人以外は、定期購読する全国紙は1紙でいいと思います。それに加えコンビニや駅の売店で経済紙や定期購読している新聞と論調が異なる全国紙を1紙、ときどき買うとよいでしょう。夕刊やスポーツ紙を買うのでもいい。特に内政に関しては夕刊やスポーツ紙の社会面には、意外に重要な情報があります。それから、あなたが地方で勤務することになったら、全国紙1紙に加え、その地方で読まれている地方紙(県紙)かブロック紙も併せて購読することを勧めます」と答えている。
新聞は情報を得るという目的のための手段である。新聞を読むこと自体が目的となっては意味がない。
新聞を購読しない家庭が増えていくと、どんなことが起きるだろうか。家庭内で、世の中のいろんなことに対して、話し合うこともなくなるだろう。じっくり考えることも少なくなるだろう。その行き着く先は・・・。

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