2013年3月4日月曜日

ボックスシート


 小説「すばる」を図書館より借りる。小説の月刊誌は結構あるが、毎月購入してまでは読んでいない。県立図書館も新築となって、月刊誌も充実してきている。「すばる」の中で、評論家の川本三郎氏のエッセイを紹介する。
ロングかボックスか 
客車の座席の形には大別して、よく知られるように、ロングシート、ボックスシシート、そしてクロスシートの三種類がある。
東京都内を走る性とんどの電車(地下鉄も含め)はロングシート。大量の通勤客を運ぶためにはこの形が効率的だからだろう。
ボックスシートは、地方を走るJRに多く見られる。昔ながらの四人掛け。旅に出た時にボックスシートの列車に乗ると懐しい思いがする。昔の長距離列車はほとんどがこれだった。夏目激石「三四郎」の青年も、志賀直哉「網走まで」の「自分」もボックスシートに座っている。
クロスシートは新幹線や特急列車に見られる。進行方向によって座席の向きが変えられる転換式が多い。
この三つの型でどれがいいか。
無論、時と場合によるだろう。普段の暮しのなかではロングシートで支障はない。もうそれが当り前になっている。旅に出た時は、ボックスシートかクロスシートがいい.
車窓の風景を楽しめるから。
東京都内を走る私鉄でも東横線や京浜急行にはロングシートが大半を占める車両の隅にボックスシートが設けられているものがある。京急は距離が長いためだろう。ただロングシートが主の車両でボックスシートにはなかなか座りにくい。とくに混んでくると居心地が悪い。ボックスシートの良さは駅弁が食べやすいことだが、東横線や京急のボックスシートで駅弁を食べる人はまずいないだろう。
旅気分を味わうにはボックスシートに限る。東京の近場でこれを楽しめるのは高尾から出る中央本線の各駅停車(大月行きや小淵沢行き)と、高既川から高崎に行く八高線の1部。
昔ながらのボックスシートを残している。どちらも本数が少ないのが難だが、平日は空いていて四人がけの席に一人しかいないことが多い。甲州や秩父の山里の風景を見ながら本を読んだり、駅弁を食べたりする。近場だが、旅に出た気分になる。

中央線は、今でも結構「ボックスシート」が残っている。私も、電車で通勤する場合は、ほとんど「ボックスシート」である。(韮崎ー甲府)
最近の「ボックスシート」は、4人がけであるが1人か2人しか座っていない。荷物を横に置いたり、大きな人が座っていたりして、座り難い。昔のように、面と向かって、知らない人同士の会話もない時代になってきている。たまには、「ボックスシート」の鈍行で松本まで行くのもいいなあ。

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