2013年8月3日土曜日

国際協調・緊急事態

共済だよりに8月号から新シリーズ「いま、なぜ憲法改悪なのか」がはじまっている。今回は小森陽一氏の①「自民党憲法改定草案の中身について」である。簡単にまとまっているので、紹介する。
自由民主党の「日本国憲法改正草案」(2012427)では、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」(戦力の不保持)、「国の交戦権は、これを認めない」(交戦権の否認)とした日本国憲法92項をばっさりと削って、「内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する」としています。「国防軍」は、「国及び国民の安全確保」(第二項1)だけでなく、「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」(第二項3)もできるのです。
「国際」という言葉は、日米安保条約の要の概念ですから、国防軍はアメリカのための戦争を、アメリカ軍と「協調」してやるということなのです。
しかも、「国防軍」と日米安保体制の「機密」を保持するために、「軍人その他の公務員」(すべての公務員ということ)を裁判にかける「国防軍」の「審判所」(第二項5)を設けるとまで規定しています。
また、第25条の3では、「国は、国外において緊急事態が生じたときは、在外国民の保護に努めなければならない」とあり、日本人の居る所なら、その「保護」を口実に世界中どこにでも、相手国の主権を無視して国防軍が出動できるようになっています。 
危険なのは「緊急事態」という四文字です。自民党案の九章が「緊急事態」で、「武力攻撃」「内乱」「地震等」の「大規模な自然災害」までは規定してあるのですが、あとは「法律で定める」とあり、内閣総理大臣がこれを「宣言」「できる」(98)とされています。 
「宣言」すると、「内閣」が「法律と同一の効力を有する政令を制定」でき、「総理大臣」が「財政上必要な支出その他の処分」ができるようになり、「地方自治体の長」にも「必要な指示をすることができる」という、総理大臣が全権力を握る独裁戒厳令体制が可能になるのです。
そして憲法を守る義務を国民に課しているのです。主権者である国民が、国家権力に縛りをかける最高法規としての憲法という考え方を、全く逆転させてしまっているのです。
戦争遂行国家が憲法で国民を縛り、問答無用で動員する体制です。
ですから「基本的人権」を定めた現行第97条が全文削られ、すべての基本的人権より「公益及び公の秩序」が優先されるのです。きわめつけは第21条。現行憲法で無条件で保障されている「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由」に対し、「公益及び公の秩序を書する」ものは弾圧すると公言しているのです。このような憲法の改悪は絶対許せません。
多くの有権者に自民党による改悪の真相を知らせていきましょう。
ここでのキーワードは「国際協調」「緊急事態」である。この二つの言葉を都合よく使えば何でもできるシステムである。

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