2014年8月7日木曜日

里山資本主義


「里山資本主義」の著者、藻谷浩介さんが、日経で「豊かさを考え直す」として語っている。概要を紹介する。
お金は大事だが、『里山資本主義』はそれ以外の価値も大切にする。
高度成長期を経て豊かになった日本。公害もバブルも経験し、国としての青春期は過ぎた。成熟期を迎えても少子高齢化、将来の生活不安、生態系破壊の危機など日本は依然“課題先進社会”のまま。その処方箋として「里山資本主義」を提唱する。
「里山資本主義とは、『マネー資本主義』の対義語です。お金だけに支配されるのではなく、お金で計れない価値も大切にしよう、そんな意味です。里山には古井戸があり、雑木林があり、生態系が維持されていて、食料や水、燃料が、ほとんどただで手に入る。人と人の絆があり、恩送りや手間返し、物々交換のネットワークが生きている。日本人誰もがやっていたことです。お金が『メーンシステム』なのは間違いないですが、『サブシステム』も用意しておこうということです」
「都会で懸命に働き、食べ物はコンビニなどで買い、お金を多く持っている方が『田舎(=里山)で自給自足する人より偉い』と思い込む。一方で田舎の人は『自分たちは遅れている』と考える。それは違います。
田舎にはホームレスの人もいないし、スラムもない。残れる人しか残っていないからです。実は、田舎の方が競争は激しい。食べられない人が都会に出て、労働力として消費されているのです。
里山が注目される背景には、東日本大震災以降、日本人はお金の循環が崩壊するリスクに本能的に気付いているからではないか、と著書の中で指摘する。
「日本が輸入する石油などの化石燃料は、2001年には約85000億円でした。昨年は27兆円。10年と少しで約3倍になりました。一方で化石燃料をベースにいろいろな物を生産しマネーで回す仕組みは少し危うくなってきている。ではどうするか。原子力か、自然エネルギーか。ここに里山の存在意義があります。里山資本主義は、そう、安心の『種火』です。里山に自然エネルギーのシステムを持っておけば住む人は幸せだし、いざという時、創意工夫、技術革新を加え、位相を大転換し構造を変えられる可能性もある。水力なども入れれば、必要なエネルギーの3-4割は賄えます。バックアップシステムとともして『種火』を灯しておくことは必要です」
彼の言っていることは、「新自由主義」への、優しい言葉での警告である。

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