「７対１」

今年度4月の診療報酬改定は様々なところに影響を与えている。特に「7対１」の厳格化は病院間連携にも影響を与えている。東洋経済に川島みどり氏がコメントしている。

日本赤十字看諸大学名誉教授川嶋みどり

医療技術の進歩や在院日数の短縮化などで､看護の現場は超過密労働を強いられている｡「7対1｣の要件が厳格化されたことで看護師は一層追い込まれる｡今年度の診療朝報酬定で､事実上､7対1が看護配置の最高基準となってしまったが､高度急性期病棟では｢5対1｣が望ましい｡

急性期では､看護師を増やすことなく平均在院日数を短くすることは不可能だ｡慢性期でも7対1が最低限必要だ｡

「特定行為に係る看護師の研修制度」が事実上決まり､看護師の業務拡大が具体的になりつつある｡これは｢ミニドクター｣を作るだけだ｡本来の看護とは療養上の世話にあり､私はこの制度に一貫して反対している｡診療の補助として看護師を使うより,看護と介護が連携し質の向上を図るべきだ｡

患者に手を当て、不安を和らげながらケアする本来の看護を実現しようと､今年5月に宮城県東松島市に地域密着完結型ケア拠点｢ハウス･て･あーて東松島｣を開いた。高齢社会を見据え､看護師が中心となって新しい看護の在り方を模索しているところだ｡

診療報酬改定は医療体系をも変化をさせる。それに対して受け身だけでは戦えない。このようなあらたな挑戦が必要とされているのではないかと思う。