2014年8月11日月曜日

NHKの危機


革新懇ニュースに元NHKディレクター池田恵理子氏のインタビューが載っている。以下、紹介する。
いま“NHKの危機”が心配されていますが、それは“国民の知る権利の危機”、“日本の民主主義の危機” というのが本質ではないでしょうか。
籾井勝人NHK会長の「政府が右ということを左というわけにはいかない」をはじめ、「慰安婦」をめぐる発言などは、公共放送、ジャーナリズムであることのあからさまな否定です。聞いていて恥ずかしくなります。
異常事態がうまれている
安倍首相が“お友達” をNHKの経営委員に送り込んだ結果ですから、事態は深刻です。このままではNHKは政府の広報機関になり下がってしまいます。昨年、大問題になった特定秘密保護法についても問題点を掘り下げるような番絶組放送はなく、「クローズアップ現代」で1回も取り上げませんでした。ニュースに安倍首相が登場する頻度が増し、国会答弁で窮した場面のカット編集が目立ちます。
こんなことが当たり前になるというのは異常事態です。籾井会長や極右の言動をくりかえす経営委員の罷免を求めるとともに、NHKそのものを見直さなければなりません。
私は1991年以後、日本軍「慰安婦」の番組を「ETV特集」などで計8本ほど作ってきました。NHKと「慰安婦」問題
しかし90年代後半、右派勢力の攻撃が強まるようになると、番組の企画は全く通らなくなりました。やっと実現した2001年の女性国際戦犯法廷の番組には、安倍首相(当時・官房副長官)らがNHKに圧力をかけて、ズタズタに改変させてしまいました。「慰安婦」問題は、今日の“NHKの危機”の象徴といえるのではないでしょうか。
「慰安婦」問題が顕在化したのは、91年に韓国の「慰安婦」被害者・金学順(キム・ハクスン)さんが名乗り出てからです。戦時中、日本軍と政府は国民に慰安所の存在を隠し通してメディアには報道管制を敷き、兵隊に向けては「慰安婦」は戦場に金もうけに来た売春婦だとしてきました。歴史的にも長い間、公娼制度を維持し、今でも売買春に寛容な日本社会であるだけに、「慰安婦」問題についてはメディアの責任も含めて、国民的に真剣な議論がいると思っています。
安倍首相は「慰安婦」の事実を歪め、否定しようとします。しかし、歴史は消せないし、世界の人びとは事実を知っています。国際社会では、「慰安婦」は性暴力の被害者であり、「慰安婦」制度は重大な戦争犯罪だということが常識になっています。歴史を学ぼうとしない安倍首相は、日本を「美しい国」にするのでなく、世界から軽蔑される国にしてしまうのです。
NHKの現場の人たちには、外に向かって少しでも声を出してほしいですね。私の在職中と比べても今のNHKは格段に管理強化されて、相互監視によって萎縮し、自由のない職場になっています。
しかし、こんな危機的な状況だからこそ何とか手を尽くして、内部からのまっとうな声を発信して欲しいです。こんな時こそ労働組令(日放労)にがんばってもらいたい。
あなたの声を
ひとりひとりの視聴者の皆さんにも声をあげてはしいです。1本の電話やメールの積み上げは力になります。NHKの中では必ず回覧されるし、影響大です。
私は先輩から、「1本の電話の背後には同じ思いの10人がいる。1通の手紙には100人がいると考えなさい」と教えられました。現場のディレクターや記者は厳しい批判から学び、励まされます。OBOGもがんばります。あきらめず、力を合わせていきましょう。
私達も電話、メールでどんどん意見をあげていきたい。

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