2013年10月7日月曜日

あべこべ

   毎日新聞の論説委員が、発信箱というコラムを毎週書いている。一人よがりのコラムもあるが、今回は面白いので紹介。  
   金づちとクギ抜き
鎮具は「ちぐ」と読み、金づちを指す。破具は「はぐ」でクギ抜きのこと。二つあわせた「ちぐはぐ」は、金づちとクギ抜きを交互に使って、仕事が進まず何をしているのかわからない、というのが語源。
ことばの由来を集めたサイト「語源由来辞典」にある説明だ。裏づけがなく一俗説らしい、と書かれているけど、ちぐはぐ感は十分出ている。
   安倍晋三首相が消費税の「来年4月8%」を決めた。同時に約2%にあたる5兆円を使い景気対策をする。毎年の借金を少しでも減らそうと我慢する増税なのに、景気対策の名の下、ばらまく。
   ちぐはぐの関連語に、「あべ・こべ」というのもあった。1993年から2009年の間、日本人の平均年収は441万円から385万円に減ったのだけど、最大の原因は、小売りなどサービス産業でパート労働者が増えたことと労働時間が減ったことだという。経済産業研究所の児玉直美さんらが調べて行きついた結論。「誰の賃金が下がったか。一口で言うと、製造業よりサービス産業」
   サービス産業で給料が増えるよう知恵をしぼる時に、製造業にお得な円安政策や減税をやる。利益がなく法人税を納めていない企業が全体の7割、これを何とかしなきゃいけないのに、残り3割相手の法人税減税で、賃金上昇が広がるって。
   新明解国語辞典(第7版)によると、「あべこべ」は、「順序・位置・関係などが、本来あるべき状態とは逆であること」。そして、「ちぐはぐ」は、「期待したことと結果とがひどく違っていていらいらさせられる(不運を嘆きたくなる)感じ」。嘆いてからでは遅い。国のお金の「入り」と「出」、両方に目を光らせないと。
   「ちぐはぐ」と「あべこべ」は「アベノミクス」のキーワードにしたい。

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