2013年7月2日火曜日

「改革」「変革」


「続ける力」(伊藤真)から、もう一つ紹介する。
「改革」「変革」の名を借りた「過去の否定」
しかし最近は、「改革」や「変革」ばかりが声高に叫ばれ、「変えずに継続していく」という、生きることの本質から目がそむけられているように思えます。
もちろん、私は、変化や改革の価値を否定しているわけではありません。
たとえば企業の活動の本質は、イノベーションにより新たな技術や商品を生み出すことにあります。「変わること」なくして、新たな価値の創造はありえません。
しかし、そうであっても、前提になるのは、会社そのものの存続です。またGEのような革新性をアイデンティティとする企業ほど、その根底では、創業者が掲げた理念や創業当時の志をかたくななまでに守り続けています。
会社をとりまく環境や時代がどう変わろうとも、「自分たちは何のために事業をしているのか」という根本的な目的意識は変えない。そして、その理念を守るために、変えるべきところを変えていくことは、企業が存続するための絶対条件ではないでしょうか。 
私が「改革」や「変革」ばかりがもてはやされる風潮を危ういと思うのは、「改革こそが正しい」「新しいものにこそ価値がある」という考え方は、自分たちが積み重ねてきた「過去」の否定につながりかねないからです。
そこからは、先人たちが培ってきた知恵を学び、「人類の叡智」を将来に継承していくという姿勢は生まれにくい。これはじつにもったいないし、危険なことでもあります。
人間が自分たちの知恵だけでやれることなど、たかが知れています。過去の蓄積に目を向けることなく、目先の損得勘定だけで「変革」を続けていけば、私たちの社会はただ迷走と混乱を繰り返すだけではないでしょうか。
「改革」「変革」「脱却」・・・聞こえのいい言葉には気をつけた方がいい。自分たちことしか考えていない輩のいう言葉である。他人のことを思いやる「想像力」のある人はこんな言葉を叫ばない。

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