2013年7月30日火曜日

あらためて「自己責任論」




 週刊金曜日に「自己責任論」辛坊氏の救助費用は約1000万という記事が載っていた。概略を紹介する。
(621()0756分頃、宮城県金華山南東方沖約1200kmの海域において、ヨット「エオラス号」が転覆し、乗員2名が救命艇で漂流。同日1000分に、第2管区海上保安部長から海自航空集団司令官(厚木)に対して、人命救助に係る災害派遣要請があった)
防衛省はヨット「エオラス号」で太平洋横断中に遭難したニュースキャスターの辛坊治郎氏と全盲の岩本光弘氏を救出するまでの経緯をこう文書でしめした。この災害派遣に関する救助費用として燃料代で約710万円、派遣隊員手当で約34000円かかったとした。また、海上保安庁は経緯をこう文書で説明した。(ヨット「エオラス号」浸水海難に関しまして、大型ジェット機1機及びヘリコプター搭載大型巡視船1隻が出動しました。()これらに係る燃料費は250万円程度)
海上自衛隊と防衛省あわせて約1000万円。これが辛坊氏らの救助にかかった費用だ。救助にはまず海上保安庁の航空機と巡視船が出動した。しかし、現場の波が荒かったため、海保は海上自衛隊に災害派遣要請を出す。海自は要請に答え救難飛行艇を出動させ、救助に成功したという経緯だ。
辛坊氏らは616日にブラインドセーリングでの太平洋横断のため、福島県いわき市の小名浜港を出港した。ブラインドセーラーによる太平洋横断は世界初だという。アメリカ到着を810日前後と予定していたため、時期的に成功すれば「24時間テレビ」で取り上げられただろうとの声もあった。しかし、企画した読売テレビ(大阪)はこの噂を否定している。
この救助に関して、「自己責任だから費用を個人負担すべき」という意見がある。なにより辛坊氏自身、04年にイラクでボランティアの日本人が武装勢力に拘束された時、自己責任論を持ち出して批判した経緯もあった。救助後、「週刊新潮」のインタビューで、辛坊氏はこのことを指摘され「私には反論できません」と答えている。しかし、警察や消防、自衛隊は国の機関であり、彼らは遭難者を救助することが任務だ。人の命を救うことを税金の無駄遣いと言うことはできないはずだ。
「海難救助は海上保安庁法に規定されている任務です。118番の通報は99%が間違いやいたずらですから、まずは事実確認を含め、巡視船やヘリで現場に向かいます」(海上保安庁広報室)
「災害派遣を要請できるのは海保や県知事、空港事務長など特定の地位にいる人物ですが、要請があった場合は必ず出動します。海保からの要請は現場が遠くの海域にあることや天候などで海保の部隊では救助困難なケースもあるので、よくある事例です」(防衛省海上幕僚監部広報室)
今回はたまたま有名人である辛坊氏だから騒動になったが、海難事故にあえば誰もが救助される権利があり、行政には救助する義務があることを忘れてはならないだろう。
まだ、一ヶ月しかたっていないのに、この事件は忘れてしまったようだ。私たちはこのことから、あらためて「自己責任論」を考えなくてはならない。

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